「おかしい…だろう君」
「え…っ」
人修羅の眼を見て、再度言い放つ。
「…何か、あったのか?」
「何か…ですか?」
「…」
おかしい。
彼にしては、あまりに短絡的と云うべくか…
そもそも肌をそんな簡単に明け渡す筈が無いのだ。
以前の拒絶を思い起こし、やはり感じる違和感に眉を顰める。
「…少し、いいか」
その外套の中の彼の、首筋に両の手を沿える。
「…何でしょうか、雷堂さん」
「血の…臭いがする」
感じた事をそのままに云ったのだが、それにぴくりと反応する彼。
「君から、するのだが」
外套の中の闇に、そう訪うた。
「…気の所為、では?」
「そう…か?」
そのまま、違和感を感じつつも…彼を外套で包み込もうとした。
と、その時だ。
「っつ!!」
背に回した手が、思いのほか強く肌を擦った。
何も外傷など無い筈の、人修羅が小さく悲鳴を上げた。
「…」
「あ、いえ…打ち身を、していて」
「半身悪魔の君にしては、珍しいな」
「…」
人修羅の顔が、少し強張った。
と、それを確認出来た次の瞬間であった。

扉が勢い良く開け放たれた。
解呪の際の波動が部屋に靡き、その音と共に何かが入って来る。
「雷堂さん!!そいつを放して下さい!」
双眸を金に光らせ、その手に悪魔の残骸を掴む…
「矢代…君?」
どういう事だ、と眼の前に居る筈の彼を見る。
外套の中の人修羅は、舌打ちと共にこちらを見つめてくる。
その姿は、既に人修羅ではなかった。


殉教者のサバト


「ぐ…っ」
突き飛ばされ、その影が外套から飛び出る。
「逃がすかよっ!」
悪魔の残骸をその影に投げつけて、人修羅が追従して駆ける。
そんなに広くも無い部屋でのそれは、一瞬で終わった。
「…その悪魔に、擬態術を施して貰っていたのか…」
死骸に埋もれる彼に問う。
返事は無い…が、のそりと、その二体を掻き分けて這い出る。
「…ふ…まさか、こいつ等を始末するとは思わなかった…」
平行世界の、十四代目葛葉ライドウ…
「一体どこまでするつもりだったんだよ、あんた」
赤く濡れた両手を振り、そのライドウに詰め寄る人修羅。
「待て!矢代君!」
その警戒の無い動きに、思わず叫ぶ。
案の定、ライドウは向かってきた人修羅に向かって、光る何かで一閃した。
ぱっと跳ね退くが、虚空に赤い雫が舞う。
「痛…っ」
頬に赤く線を増やした人修羅が、そこを押さえつつライドウに向き直る。
アマツミカボシの身体から取ったのか
ライドウは小さな飾り刀を手にしている。
しかし、擬態の為か…かなり軽装なその状態は丸腰だ。
「謀った…のだな、ライドウよ…」
壁に掛けてある太刀を手にし、我も人修羅に並ぶ。
「…流石に、これは打破出来ないな」
不敵に笑い、その小刀を持つ腕を垂らした。
「っこの…!」
その瞬間、人修羅が小刀を掴みにかかる。
魔力が其処一点に集中するのが、傍に居てよく解る。
「っぐ!」
其れを持つライドウの手ごと、その刀を打ち砕いた。
「や、矢代君…!?」
その、普段の彼からは考えられぬ攻撃的な行為に驚き、その名を呼ぶ。
「この…この嘘吐きッ!」
壁に押し付け、その首を絞め上げている。
だらりと垂れたライドウの片手は、骨が砕けたのだろう。
赤く表皮がぼろぼろになった、手指がちらりと見えた。
「俺の姿で、あのまま…何する気だったんだ」
「何…だって?ふ…それが解らぬ程、君は乳臭いのか?」
絞められながらの台詞とは思えぬそれを吐き出すライドウ。
怒れる人修羅は、その彼を絞めつける腕を奮わせる。
「…もう、もう沢山だ」
そう呟いた人修羅の声が、暗く響いた。
それが、狂宴開始の合図となった。



まさか…こうも簡単にばれてしまうとは。
(僕も腕が鈍ったかな…)
軋む片腕と同時に、壁に着く背の痛みを感じる。
この背の傷に要因が有る事は解っている。
あの鞭には、暫くの間感覚を苛む毒が入っているのだ。
意地を張って治さずにいた結果が、この様な形で表れるとは…
自嘲気味に哂えば、人修羅が吼える。
「何が…可笑しいんだよ、ライドウ」
その眼に、狂気が奔るのを見逃す筈が無い。
普段から見ているのに、気付かぬ事があろうか?
「別に…」
そのままちら、と雷堂の方を確認する。
攻撃的な人修羅とは対照的に、少しは平静さを取り戻している様子だ。
「あんた、今まで何度と無く…俺達を欺いて、いたぶってきたよな」
「…否定はしないが」
特に、人修羅の場合はボルテクスからの付き合い分を含めているのだろう。
確かに、彼を良い様に扱ってきたのは、その通りである。
「俺の周りから…何故いつも奪うんだ」
「…」
「答えろよ…」
無言でそっぽを向いていた。
何故、なんて時によりけりで、いつも答えは違うからだ。
すれば、胎に衝撃が奔り、体が自然とくの字に折れ曲がる。
「ぐ…ッ」
「返事」
それは、いつも僕が彼にしている流れだった。
胎に入れられた膝が、そっと抜かれれば呼吸が戻って来る。
「っご…ほっ、ごほっ」
「なあ、何故か云ってくれよ」
「……答え…なんて、無い」
咽てそう云えば、彼は顔をしかめる。
「そんな…大した理由も無しに俺を…孤独に追いやるのか」
「…は…っ…君、は…使役されているのだから、別に…おかしく無い」
そう哂いながら僕は唱えた。
「…」
沈黙する人修羅が、震えている。
今までの鬱屈した感情が、いよいよ濁流となって押し寄せているのか。
「矢代君、もう…まともに聞き入るな」
背後の雷堂が彼にそう、優しげに語り掛ける。
緩む腕に、このまま終演を迎えるのかと一瞬思いもしたが…

「本当の意味で、我が君の主になれば済むだろう…?」

その雷堂の発言に、耳を疑った。
思わずそちらを見れば、人修羅より…警戒すべき者が其処に居た。
(今、哂ってたな、この男…)
一枚剥がせば、人修羅は攻撃的な面が突出するだけだが…
もっと、本質に狂気が混じっているのは…間違いなく自分の影だった。
「雷堂さん?」
「矢代君は…我に使役されるのは嫌か?」
「そ、そんな事は…!」
人修羅は振り向き、どの様な表情を見せているのだろうか。
笑顔…だろうか。
「では、そこなる君の主人が暴れぬ様にせねばな」
そう、低くも穏やかな声音で云う雷堂がこちらに歩み寄る。
人修羅は雷堂に任せ、少し退いて遠巻きに見つめている。
「…なんだ、僕とそう変わらないじゃないか、お前」
雷堂の耳元で、そう小さく哂ってやれば
折り返し、同じ声質で云われる。
「貴殿には、色々借りが有る…な」
その言葉の意味は、僕の思うもので間違い無いと思う。
そのまま彼が外套の内から取り出した符で、四肢を封じられる。
がくりと、地に崩れ落ちて、視線は彼らを向いたままとなった。
浄瑠璃の操り人形、糸や支えの切れた其れの様な僕を尻目に
彼らは勝手に話を進める。
「こうなると、化け物デビルサマナーも…赤子同然、だな」
無邪気に微笑む人修羅は、完全に切れていた。
おかしいな、今宵は満月だったか?
一応それは避けたつもりだったのだが。
しゃがみ、こちらを見下ろしてくる金の眼が眩しい。
「なあ、ライドウ…俺の真似、上手だったよな」
「…」
「これも上手?」
もはや弄んでいる調子の人修羅は、恐らく正気でない。
その、部屋に入りいつの間にやら靴を脱ぎ去った素足を
僕の口元に押し付けてきた。
「解るだろ?いつも命令していた事なんだからな」
解る…から、したくないのだよ。
そう思い、沈黙して眼を伏せる。
当然、怒る人修羅は、その爪先で僕の頬を蹴る。
「まず頬で、それでこうだよな?」
頬を蹴った後、逆の頬を蹴り、向き直させる。
そうして額の前髪を指先で摘んで、面を上げさせるのだ。
「はは、結構俺もあんたの真似が上手みたいだ」
その人修羅に、同じ事をされている僕は無感情に彼を見つめる。
(ああ…演舞の獣も、この様な気持ち、だったのかな)
まるで、供物の様に、扱われる。
その場を盛り立てる宴の礎。
「…なんだ、あんた結構我慢強いんだな」
無反応の僕に飽きたのか、人修羅は指を開き、僕を放った。
そういうものだ、それは僕がよく解っている。
反応が無い玩具ほど、つまらぬものは無いのだから。
「…矢代君、では君が受けた中で、最も非道と感じる事は何だ?」
横から割った雷堂の声に、微妙に浮ついた期待が混じっている。
人修羅もそれに気付いている筈。
とうとう、二人して、愉しみ始めたのだろうか?
「最も…」
そう、遠くへ意識を飛ばすかの様に呟く人修羅。
今までの記憶を探っている所為か、顔が少し苦しそうだ。
「…やっぱり、あれしか無いです」
「あれ?」
「…俺も雷堂さんも、おおっぴらにしたがらないだろう行為」
そう人修羅が云えば、雷堂が問うている。
「望むのなら、席を外すが」
「…いいえ、むしろあいつの事…曝してやりたい」
そう云った人修羅の眼が、やんわり歪んだ。
ああ、いつも僕はああいった眼をしている、のか。
先程から納得する事ばかりで、正直笑うしか無い。
そうして、近付いてきた人修羅に、予想通り…
襦袢を肌蹴られ、肌着をむしられる。
人修羅に巻いてもらった晒が、解けている。
それに触れて、一瞬彼の動きが止まったが、直ぐに再開された。
「俺が、する側…なんて、可笑しいな」
「ふん…大して立派でもない癖に、それこそお笑いだ」
「だから、可笑しいって…云ってるだ、ろっ」
ぐい、と指を突っ込まれる感触。
遊び慣れたお上にしか解された事の無い其処は、悲鳴を上げた。
「ひ、ぎ…っ」
裂ける音すら脳髄に響きそうだ。
思っていた以上の激痛に、眼をまばたきさせる。
「あんた、まだ指なんだけど…大丈夫か?」
「は…っ、舐めるな」
「あ、そう」
「い゛っ…あ、あ」
更に奥へと裂く指が、喉の奥から喘ぎを搾り出す。
ふと、眼が合った雷堂が、眼だけで哂う。
それに無性に、苛立ちを感じた。
「やっぱり、血はあまり滑らないのは俺もあんたも同じなんだな…」
ずるりと指先が抜かれ、息を吐く。
「あんた、やられる側だと随分丸いな」
「…尖ってどうする」
「冷酷無比な悪魔の如きサマナーが、こんな…」
そう云って、下半身を寛げた彼。
いつも虐める対象が、僕にあてがわれるとは…思わなかった。
「ライドウ、挿れても良い?」
わざわざ耳元で聞く人修羅は、こんな時に年齢相応の無邪気さを出す。
「…勝手にすればいい」
「…俺がそういう反応すると、あんた逆上するくせにな」
「まあ、いい…別に、あんたで気持ち良くなれるとか、思っていない」
そう吐き棄てて、人修羅のそれが割り入ってくる。
ぎちぎちと、ヒダがもう無理だと悲鳴を上げる。
「きつい…、痛い」
不満を口にしながら、乱暴に押し入る彼に技術など有る訳無い。
「ひ…っ、ああ、あっ!」
それが却って、抉るような残酷さを以って後孔を損傷させていく。
「へ、え…ライドウも、そんな、声…出せたのか!」
「っあ、ああ、っぐ…く…ぅ」
「ちょっと、あんたの気持ち解ったかも…っ」
やがて、それなりに湿った(とはいえ血で)後ろの運動を続けた彼が
何故だかされている側みたいな弱弱しい声で訴えて来る。
「あ、あ…っ…こんな事して、本当…俺、堕落しきってる」
「っはあ…っ…はっ…」
「なあ、ライドウ、浅ましいだろ?あんたの欲してた力なんざ、どこにも…ありゃしない…!」
「だま…れ」
「俺のマガツヒ、餞別で…受け取って」
ふるりと、ひと震えして、熱い何かが腸に遡る感触に蝕まれる。
それと同時に、人修羅がぐい、と身体を曲げて背を舐める。
「あ、はあ…っんっ」
その痛みの衝撃に、思いもよらず屹立した自身から、放出する。
する側なら感じないのに、こちらの立場での放出は…酷くだるい。
そして、羞恥が在る。
「…ライ、ドウ……は…あはは…何だか、あんた…女の子みたいだ」
「…!」
里で、最中に云われた…最も愚弄に等しい言葉と同じ事を、云われた。
何でも、嬌声だけは甲高いらしい僕は、その様な気にさせるとか。
(ふざけ、てる…)
いよいよ眩暈すらしてきた。
身体を投げ渡す事くらい…と思っていたのに、これが使役していた悪魔
人修羅…に、というその事実に、頭がやられそうだった。
「は…あ、でも全然…ッ気持ちよく無い!」
恐らく、一度は云ってやりたかった、のだろう。
人修羅が崩れた僕にそう吐き棄てて、笑い転げた。
「これで解ったかよ、俺が云われてた気持ちがさ」
髪をぐしゃりと掴まれ、ずるずると容赦無く引かれる。
ずらされた身体は、何となく予感していた箇所で止められ、下ろされた。
「ほら、雷堂さんに悪いから、あんたこれ綺麗にしてくれよ」
床上に吐き出した、自身の白濁を頬に擦られる。
(ああ、確かに、僕でもこうしたろうな…)
主従共々、似てくるとは妙な。
心の何処かで哂って、口を吊り上げた。
「あんた、もしかして…やっぱりマゾなのか?」
前云われた疑問を再度投げられ、人修羅に上から押さえつけられる。
「ほら、舌で…」
その声を無視し続けていれば、次第に人修羅の指先に苛立ちが伝わる。
「舌!!」
そう叫び、空いた手で背を掻き毟られた。
晒を巻いてくれたその手で、今度は皮を剥がれる。
「…!!!!」
痛みに声が出ず、脳が反射的に命令を身体に下す。
それを舐め上げて、難を去れ!と。
「は…っ、は、っ…」
くちゅり、くちゅりと舌で掬い、ずずっと啜るその醜態に
満足したのか人修羅は背から手を離す。
「やりゃ出来るじゃないか、相変わらず素直じゃないよなあんた」
苦くて青臭いそれを舐めて、生きながらえる自身を恥じた。
反射に逆らえぬのは、脆弱な人間の証…
(あ…れ?僕は狐が混じっているのではなかったか?)
朦朧とする頭でそう思ったが、もう過ぎた事の答えなどどうでもいい。
「なあ、雷堂さん…もう俺はいいかな」
「いいのか?」
「ああ、やっぱりいたぶるのってエネルギー必要だ、疲れる」
あんなに好きにやっておいて、疲れたと一笑に付すとは…
もう哂ってしまう。
「では、もう我の下に来てくれるのか?矢代君」
待ち侘びたと、云わんばかりに外套を脱ぎ、人修羅に背後から寄る雷堂。
そっと後ろから抱きしめるそれは、一見優しい親の様だ。
(叩けばどれだけ泥を吐くやら…)
閉鎖的な環境で育った者は、異常な点が在ると云うが…
もう、彼はそれの典型な気がする。
「ら、雷堂さん」
「いい、そのまま下は寛げていてくれて…」
「で、でも、あ」
深く、くちづけする二人を、死んだような眼で多分見ている。
これから、何が起こるかくらい想像がつく。
「待って…待って!俺、されるのはやっぱり無理…っ」
「今更か?あんなに見せておいて?」
「それは…っ」
人修羅は逃げるつもりで、かは知らぬが
それは傍から見ればじゃれ合いに等しい。
虫唾が奔る。
(何に対して腹立たしいのだ、僕は)
悪魔を取られた事か?
果たして…それだけだったのか?
「雷堂さん…っ恐い」
「そちらのライドウ程の技量はないだろうが、尽力しよう…」
(どういう意味だよ)
そのいちいち突っかかる発言に、やはり同一体なのだと実感する。
その、まるで鏡を見て…
人修羅とまぐわっているかの様な錯覚に陥る光景。
だが、それは僕では無いのだ。
怯える表情の人修羅が、背後から穿たれている。
僕が指図しようとも拒絶する四つ這いを、自ら進んでしている。
「は…ぁっ」
その恍惚に惚けた表情を見た瞬間に、何かが弾けた。

「そんな事をするだけで契約が破棄されると思っているのか!!」

熱に浮かされる二人に、そう叫んだ。
ぴたり、と腰を止めて雷堂がこちらを見つめる。
いつもの、能面みたいな無表情さは、口元の綻びで打ち壊される。
「…思っている訳、無いだろう…」
そう呟き、クスリと哂った。
「貴殿が知る方法を取るか、貴殿が死ねば解消されよう」
「…」
その通り、だった。
何故、彼が哂っているのかも、解る。
こんなに浅ましく、拒絶された僕が…
そこなる悪魔の主人という立場に、未だ立っている、という事実にだ。

(もう、潮時か…)
堕天使への切り札は彼なのだ。
彼を手放した時点で、負けは決まっている。
契約解消し、彼等の顛末を見るのはおぞましい。
そんな事、僕が赦せると思うのか。
では、残るは…

帝都を放置するのは気が引けるが
きっと十五代目のめぼしくらいつけてあるだろう。
(我ながら、情けない最期だな…)
ゴウトに鼻で笑われそうだが、いっそそうして貰えた方が良い。
舌を探り、其れを歯に挟む。
これでもう、眼の前の光景を見聞きせずに済む…
人修羅への想いの正体にも、苛まれずに済む…

「ん!ぐうううっ!?」

それは急に押し込まれた。
口内に、ざらつく感触。
「ライドウ…死なせるか」
凶悪なまでに、その光を湛えた双眸の悪魔が、眼前に来ていた。
胎から解けた晒を、ぐるぐると玉にして、口内に突っ込まれた。
もう、舌も噛めない。
「あんたは…俺と、他のサマナーが繋がる瞬間まで、見てから死ねよ」
「ぐ、う…うう…」
「…最期まで云わなかったあんたが…あんたが悪いんだ、ライドウ…」
「は、ぐ…う、ううううっっ!!!!」
「さよう…なら」
そう云って、雷堂の下へ戻る人修羅…功刀矢代。
僕は、望む瞬間に死ぬ事を赦されなかった。
それは、あの悪魔に対する感情の正体に気付けなかったから…か?

いや…これは…罰…だろうか。
気付かぬ振りをしてきた、この僕への…
使役する側と言い切り、殺してきた…本来の感情達が
人として生を受けた僕が、特権を棄てていると…
天がお怒りになったのだろうか…

「矢代…俺の…好い人…」

眼の前に繰り広げられる光景。
影であるサマナーから、その悪魔に紡がれる言葉。
それは…


それは、僕が云う筈だった…のに


殉教者のサバト・了

↓↓↓あとがき↓↓↓
うわあ、これは酷い!!(二度目)
人修羅がかつてライドウにされてきた事を復讐の如く行使する。
これも意識しましたが…雷堂の黒さもアピールしました(おいおい)
それと、ライドウには意識的に喘がせました。
ドSライ様好きの皆様、大変申し訳御座いません。
色々イメージを壊して(いや、有る意味イメージ通り?)書きましたが…
最後辺りは、結局すれ違い…なイメージで閉めました。
こちらには、続きは在りません。この後は皆様でご想像下さい…

※このSSにおけるサバトは「黒ミサ」的な意味で使いました。
 本来の意味では使用しておりませぬ。


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