初めての、優しいくちづけ…だった。

その事実が、俺の身体を人形にしていた。
(何故…)
何故、雷堂の優しいくちづけに背徳を覚え、ライドウの其れには…覚えない?
その、ライドウの指が俺の頬に戻り、両頬を挟まれて
何度も何度も角度を変えて
咬む事も、力のやり取りすら無い、その唇のまぐわいに…
だったら、何の意味が在る?

(これは、何の意味が在ってされている?)

やがて、やんわりと放された…
手術台に、放心して横たわる俺を…ライドウは無表情に見下ろしていた。
「…なんで」
俺の口から、それこそ何故発されているのか自問自答したい声が出る。
「なんで…痛い事したと思った次の瞬間に、あんな事するんだよ…」
俺の声が、震えている。
ライドウは、無表情のまま云った。
吐く息が白かった。
「あの雷堂は、こういう接吻をしたのか」
「え…」
「あの雷堂と、同じ様に…優しくすれば、僕にも眼をくれるのか?」
「…な、なに…を」
動悸が…早い、痛い、痛い程に血を乱す。
苦しい、息が…
その、ライドウの問いに、答えが見つからない。
ライドウと雷堂が…同じ様に、成ったら…?

「…くっ、くくく」
と、突如した笑い声に顔を上げる。
ライドウの無表情が、崩れていった。
「何を狼狽しているんだ…冗談に決まっているだろう」
「…!!」
その言葉に、冷水を掛けられた様に、身体が凍りつく。
「云ったろう…赦さないと」
つい、先刻まで優しく撫ぜた指は、俺の右頬を強かに叩いた。
当然視界の無い其方からの攻撃に、身構える事すら出来ずに
俺は手術台から落ちて、左側面を床に打ち付けた。
「ねえ、その着物は誰の?」
「がはぁっ!!」
倒れ込んだ先で、鳩尾に蹴りが入る。
革靴の先は、硬く鋭く俺を抉る。
「誰の?」
「ら、雷堂さん…っ」
「へえ、何故拝借している?」
「あ、あんたに、教える…義理は無い」
軋む身体は、明らかに弱ってる。それなのに、俺はこんな事を云っている。
案の定…ライドウは抜刀して、哂って佇む。
「主人は誰?雷堂なのか?」
「うぁ…っ」
右腕を斬られる。
「主人に報告すら出来ないのかお前は」
「はあぅっ」
右脚を斬られる。
下手に動けば、それこそボロ雑巾みたく扱われるのだろう。
「云え、口が利けぬならその弱った頭に聞いてやろうか?」
それだけは嫌だった。
今の俺なら、余分な処まで見せてしまいそうで、そんな恐ろしい事は避けたかった。
「雷堂さんと…した」
「…何を」
「あんた程じゃないけど、同性では行き過ぎた触れ合い程度に…」
「それで着物を借りる理由が出来た訳?」
「…」
「僕の云わんとしている事が解らぬ程無能?」
刀の切っ先が、瞬時に眼前にあてがわれた。
唯一の左眼に。
俺は、詰まった呼吸で、まるで呪文の様に唱えさせられていた。
「よ、汚れてしまったからっ!」
「何故?」
「指で…っ、指で…」
「誰の指?その指が何をした?」
「雷堂さんの指で!俺のが吐き出したんだ…っ!」
もう、壊れてしまえ。
俺の精神なんか、在るだけ無駄で、在るだけ苦しいだけだった。
「く…あははは!傑作だな…堕天使に懇願して、手淫されにいったのかお前は」
「黙れ…っ!雷堂さんは…思いつめてああなったんだ!倒錯してて悪いかよっ」
違う、そんな下卑た欲にまみれた行為では無かったと信じたい。
その思いが俺を叫ばせる。
「そして、その肌にあいつの指が這うのを許したのか」
「同情かも知れない…でも、俺はそうしてやらなきゃ、雷堂さんが心配だった…!」
「あれが?フン…充分強かだよ、あの男は…」
嘲笑するライドウは、何か云いたげではあったが、そのまま口をしならせた。
「デビルサマナーが悪魔に同情されては御終いだな」
「あの人は…あんたと違って、俺を思いやってくれる」
「思いやり?へえ…それで眼を要求した?」
「俺が勝手にあげたんだ、あの人はくれだとか、云ってない!」
「…随分あの男に再教育を施されたものだね…」
眼前の刀は、すぅ…と上にあげられていく。
真っ直ぐに見つめてくるライドウが、俺に向かって云う。
「功刀君、久々に本気で喧嘩しようか?」
「!」
「何も考えず…ただ殺しあったボルテクスが懐かしいだろう?」
「いきなり何…」
「僕のやり方で再教育してあげる…ああ、いやそれとも」
その刀身の向こうに、俺を嘲笑う、綺麗な顔のサマナーが見える。
「調教…と云うべきかな?人修羅?」
弱っている筈なのに、沸々と胎内から凶暴な感情が湧き上がる。
その奔流が、俺の身体を突き動かす。
もう肉体の欠損すら覚悟して、俺はライドウに牙をむいた。

「黙れ葛葉あああっ!!」
飛び掛り、薙いだ爪先の衝撃が、薬品置き場を散らす。
宙に飛散する物や、床を転がる薬品瓶。
跳躍し、それをかわしたライドウの外套に、消毒液が付着した。
そのなんとも云えぬ匂いに包まれたまま、引き抜いた銃でこちらを狙う。
「弱体化著しい」
そう云い数発放たれた弾丸が、俺の肉に喰らい付く。
裂けた肉から筋に喰いこむ鉛に、いつもより酷く痛みを感じるが
手を着き二転三転宙に舞った俺は、脚を振り切って衝撃を放つ。
その光弾が矢の様にライドウへと降り注ぐ。
それを掻い潜り、奴は手術台を踏み台にした。
高く飛び上がり、こちらに追いついてくる。
(此処、狭いっ!)
刀の斬撃を紙一重で避け、着地と同時に俺は扉へと駆け寄る。
なるべくライドウと接近を避けたい俺は、元の広間へと姿を移した。
高い天井の、合体装置が物々しい空間。
此処なら飛び回り、すぐに追いつかれない。
接近され、右の不可視部分がガラ空きになる前に
遠巻きから攻撃してそれを防ぐ自信すら在った。

この高揚が、全てを忘れさせる。
普段の稀に見せる、ヒトとしてのなれ合いも、先刻の穏やかな接吻も
全てを血で流してくれる。
俺とあいつの在り方を、再認識させられる。

「焼け爛れろっ!」
両腕を眼前に運び、点した魔力の少なさに辟易したものの放つ。
指先から躍り跳ねる熱の塊が、濁流の様に奴へ向かう。
布地の焼ける匂いと、肌を幾らか赤く染めたライドウが刀でそれを振り払う。
「だから眼なぞくれてやる物では無い」
手の甲の血が滲む熱傷を啜り、浮いた表皮をぷっと床に吐き捨てるライドウ。
「こんな焔では芯まで焼くなぞ無理だね」
せせら哂うこの男は、やはりおかしいのではないか。
俺は、装置固定の大きな鎖を足場に、上へと駆け上る。
じゃらじゃらと重く響く音を撒き散らし、ライドウの追えぬ箇所を探す。
斬られた右半身が、ずくりと痛むのを堪えて…
「悪魔は強く在ってこそ、だろう?功刀君?」
「俺は、まだ成っていない!」
「フフ…ねえ、逃げてばかりではつまらぬよ」
その笑いと共に銃声が響く。
高い天井に大きく残響を広げ、その弾丸の行き先に疑問を感じつつ警戒している
と…急に視界が暗くなった。
いや、違う…俺の視界ではない、この空間の明かりが、証明が落ちた。
ライドウが照明装置でも狙ったのか…
元より薄暗いのに、坑道の如き闇に包まれた空間に
俺は混乱して周囲を見渡す。
何も見えない。
そして俺の斑紋は淡く色を発し輝いているのだ。
危険、非常に危険だった。

「がふッ!!」

突然の痛みに、折れた身体。
鎖を踏み外して重力の働くままに落下した俺は、床に全身を打ちつけた。
そのバラバラになってしまいそうな痛みを堪えて、ふるふると身体を起こせば
髪を鷲掴みにされて投げ飛ばされる。
「うあ゛…っ」
ごろごろと、床を転がる俺に、まるで玉蹴りでもして遊ぶみたく
がすり、がすりと、脚と思う衝撃が与えられる。
(視えない…っ!!魔力の気配すら読み取れない…!)
焦りと痛みが、恐怖にすり替わる。
俺を光源にしていると思わしきライドウが、腹立たしい。
「まるで蛍狩りみたいだ」
その声が、俺の推測と別の方からして、更に困惑した。
まともに相手の位置すら捕捉出来ない、勝負に…ならない。

がちゃり

金属音がしたと思えば、ライドウの声。
「功刀君、君は面白い処へ逃げ込んだね」
「っ…う、うぅ…っ」
よろりと立ち上がり、右手に壁が来るように這う。
まず、右に空間を作りたくなかった。
ぶわり、と空間が振動する様な音が辺りに落ちる。
ぽつり、ぽつりと証明が光を取り戻していく。
予備電源の作動か、そのやはり薄暗い灯りに露わになる全景。
「な…」
俺は、いつの間にやら檻の中に居た。
あの、合体悪魔の檻。
慌てて出ようとするが、金属は異様な強度で、そもそも出入り口が何故塞がれている?
「それ、特殊素材から生成した金属だから…中で悪魔が暴れても問題無い」
「このっ!閉じ込めやがったな…っ!!」
「普段の君なら破壊出来たかもしれないがね」
遠くは薄暗く、眼が慣れるまでよく把握出来なかった。
だが、その光景の異様さに俺は息を呑んだ。
「…おい」
「何?」
「あんたが…何故其処に居るんだよ」
黒い外套のデビルサマナーは、俺の向かいの檻に居た。
「居てはいけないのか?」
「あんただってそれじゃ攻撃出来ないだろ」
「銃でしか無理だね、魔力は遮断されるから」
そう云って、ふわりと捲った外套の内から銃を取り出したライドウ。
俺は蜂の巣にされる自身を一瞬で想像し、思わず身構えた。
「…っ」
だが、いつまで経っても俺の肌に鉛は喰い付いてこない。
左眼をじわりと開ければ、ライドウが微笑んでいる。
その姿に唖然として、俺は黙ってしまった。
「ねえ、君は悪魔を何故合体させたがらない?」
突然の問いに、俺は間を置いて、ハッとなり返す。
「どっちの存在も殺す事になるからだ…っ」
「そうだね、A+B=C成る別存在が生まれるからね…」
「そうまでして、強い悪魔を作り出す気も、それを使役する気も無い」
悪魔達は、さして気にも留めない様子だが…俺はそんなの、気分が悪い。
「では、君は愛しき者にそれを望まれたら、どうなのだ?」
「は…っ…?それは、合体をもっとさせろって…依頼されたら?」
「違う」
学帽の下で、闇色の筈なのに…薄っすら煌く眼が俺を射る。
「その者と、君とが合体するのだよ」
その発言に、一瞬意味が解らず俺は口をぽかんと開けていた。
「俺の意識が掻き消えるのに、そんな馬鹿な事…出来るか!」
「では、それをあの雷堂に懇願されたら?」
「え…」
「君が眼を差し出し、他の箇所を、肉を、魂を差し出し…そんなまだるっこしい工程を踏まずとも簡単な方法だろう…?」
頭が、混濁する。
あの、優しい眼差しの雷堂が脳内に浮かぶ。
そしてありありと…その姿が想像出来てしまう俺が、憎い、馬鹿だ。

きっと、笑顔で云うんだ
“我と合体しては呉れぬか”と…

「どちらの意識が残留するかなぞ、関係無い…その事実の一瞬の悦びに己を投げ棄てるのだよ」
「狂ってる…それは…それがいくら愛と云われても俺は無理だ!」
「あの雷堂でも?」
「あ…当たり前だ!!」
「なら、僕としてよ」
「え…っ」

がぃん

銃声、レバー動作の金属の音、せり上がる檻の鎖が啼く。
上へ上へと移り往く景色。
雷電迸る檻。
脚に、力が入らない…
膝から崩れ落ちて、向かいの檻を見つめる俺。
「何考えてんだ…」
「君の意識に勝る自信が在る、その身体なら僕の目的に害は及ぼさない」
「俺の意思は」
「あの雷堂に奉げたのだろう?もうその身体には宿っていない」
「あんたの意識が残る確証も、身体が俺の力を残す確証も無いんだぞ!?」
「フフ…単細胞の粘液に成っても、構わない」
綺麗な形の唇が、弧を描く。
落ち着いた声音が、俺の心臓を突き刺す。

「寝ても醒めても君が纏わり着く…こんな身体、棄ててしまいたい」

がちゃりがちゃり、と、天に届く。
互いの檻が、共鳴し合う。

「ライ…ドウ…」
「君には解るのか?この得体の知れぬ狂気が…不安に掻き立てる、君を嬲ろうが抱こうが治まらぬこの慟哭が!」

バチリバチリと迸る雷電にその掌を焼かれ、格子を握るライドウ。
俺を睨むように、喰い入る様に、喰らう様に見つめる。
吐く息が白い。
天に近いのか、はたまた地獄に近いのか。

「ひとつに成れば、この正体が解るのか!?どうなのだ!?矢代!!」
「嫌だ!嫌だ嫌だ!!」

半狂乱で、俺は叫ぶ。
恐ろしい、消えてしまう、俺が消えてしまう。
恐ろしい、消えてしまう、あれも消えてしまう。
“こっちへおいで…”
差し伸べられた、闇への誘い。
その手が、消えるのだ、互いの内に、無かった事に。
その手に、苛まれる事も、力を流される事も、撫ぜられる事も…

「あんたが消えるなんて嫌だ!ライドォオ!!夜っ!!夜ぅっ!!!!」

ギギギギギギ…
引き合う檻が、止まる。
迸る雷電は、なりを潜めて消沈した。
ぐわらり、ぐわらりと、檻は地階へ下がり往く。
『この気狂いが!!我まで眠らせおってからに…!』
下に眼をやれば、黒猫と白衣の博士。
「全く、我輩のラボを滅茶苦茶にしおって!弁償しろよ葛葉あああ!!」
昇降装置をがしがしと動かすヴィクトルを、俺は放心状態で見た。
がちゃり、と床に連結した檻が、自動的に開く。
『おい…大丈夫なのかお主』
ゴウトが、ライドウではなく俺の方へと歩み寄ってきた。
俺は放心したままの眼をゴウトに向ける。
フウッと鳴く黒猫。
『あやつ…その眼を見て逆上でもしおったか?馬鹿だ…な』
「ゴウトさん…」
ようやく、身体が状況を把握したのか、震えだす。
『悪魔とて、合体に恐怖する奴も居るからな』
「う、うううっ…」
今更、残る眼の方から、雫が溢れた。
恐ろしかった、ある意味、死よりも。
『おい、ライドウ!弁解するなら聞いてやらんでもないぞ』
ゴウトの声に、ライドウは返事すらせずに、檻を出る。
『おい!』
黒い外套をなびかせて、冷気漂う階段を上る。
『ライドウ!』
再度の呼び掛けに、その脚を早めて駆け上がっていった。
革靴が段を踏み鳴らす感覚が狭まり、やがて消えた。
俺とその階段を交互に見て、溜息を吐くゴウト…
『まあ、奴の事だからどうせ寸でで、止めるつもりだったのだろうが…脅しだ、脅し…お主をまた苛み、愉しんでおったのだろうて』
その台詞を、俺は心の中で全否定した。
あれは、本気だった…どう考えても。
そして、あの時の俺の叫びも…本心、だった気がする。
それが何を意味するのか、よく解らなかったが…解ろうとも、思わなかった。



宵に暮れる空を眺めて、もう随分日が落ちるのも早くなったと感じる。
先刻の、人修羅の言葉が耳元で未だに輪唱している。
あのまま…
あのまま、別に融けあってしまっても、構わなかった。
どうせこの身、そこまで大事でも無い…
あれを、奪われる方が、恥だった。
その屈辱に殺され続けるのなら、己の内に納めて、奪えぬ様にしてしまいたかった。

僕が消えるのを恐れたのか、あれ、は…
僕の名を叫んだ。
“夜”と、未だにその名を憶えて居た…
それが…それが何だと云うのだ。

暗くなってきた道に、眼を凝らす。
ふぃと、足下の色に気付く。
見れば、赤い、赤い紅葉が…地面に広がって居た。
(ああ…もう冬が来るか)
ぼんやりとそんな事を思い、脚を運ぶ。
だが、周囲に落ち葉はそうそう無い。
掃かれて、道脇やら焚き火やらにされて、街路に在る筈も無い。
よくよく眼を凝らす…
そうして、ようやく知った事実に、思わず哂ってしまった。
それは紅葉なんかでは無い、自身の胎から流れ出た、血だった。
人修羅の虚を縫うのに、そういえば胎から糸を抜いたのだった。
(人修羅は、果たして雪の季節まで手元に在るのだろうか…)
また、まただ、何を恐れるのだ、何を不安になるのだ。
僕は、ヤタガラスきっての、狐と…悪魔と呼ばれるサマナーだぞ…
いくら悪魔の王たる資格を持つとはいえ、あんな少年に…
何を恐れているのだ。
それが、暴力となって、酷い殺戮衝動となって発露する己を…いっそ誇らしく思う。
どうして、僕は、こんなにも素直ではないか…だと云うに
何故、この不安は解消されぬ?
何故、雷堂の真似等して…優しく接吻した…?

雑念を割くようにして
「もう暮れる、家にお入りなさい」と、何処かの母親の声が響く。
河の畔に遊ぶ子等が、手にした諸々を投げ棄て、手足の砂を掃って駆けて往く。
その上から見えた、うち棄てられた諸々に見覚えを感じて下りていく。
流れ着いた、何かが河縁にたゆたう。
(こんな処に流れ着いていたのか…)
先日、電車から水へと投げ棄てた教科書達が、恨めしそうに僕を見ていた。
もう、濡れに濡れて開くのもままならぬであろうそれ等を、靴先で蹴る。
開いた國語の本は、洋墨が滲んで、なんの文かも定かでは無かった。

ただ、数行の言葉が、眼に焼きついて離れなかった。


“ ごく自然に、だが自然に愛せるといふことは
そんなにたびたびあることではなく
そしてこのことを知ることが
さう誰にでも許されてはゐないのだ ”


「矢代…」
ああ、お前は
どうして眼をくれてやったのだ
知るを赦されぬ僕は
それを得る資格が無いのか?
赦しはしない…人修羅よ、功刀矢代よ
その魂が平行世界へ往こうとも
その首に在る鎖は、僕が執る
千切れて、首だけになろうとも
その首を腕に抱いて、哂って居てあげよう…

「ああ、これが、愛、か…は、はは…あはは…はっ」

秋が更け往く



盲目の秋・了


↓↓↓あとがき↓↓↓
勝手な愛の形に気付いた(それもやはり自覚無し)ライドウです。
己から抜糸した糸で麻酔無し縫合・眼孔舐め・眼球舐め
鳩尾蹴り・強制合体未遂
まあ、いろいろやらかしましたが…
全てはライドウの云う『得体の知れぬ感情』の所為です。
きっとそうなのです。
人修羅は、ライドウに対する感情には疎い様ですね…
憎しみだけでは無い事に、これからも気付かないのでしょうか。

最後の一文・タイトルは中原中也様から…
実際国語ではお世話になりました。

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