(どうして雷堂さん、あんなに暴走してんだ)
静かな木々の中、人修羅は境内をうろうろと散歩していた。
帝都に居ては、今日は何処も彼処も変態の噂で持ちきりだった。
夕飯の買い物すらする気になれず、探偵社へも戻らなかった。
名も無き神社をこうしてぶらつく。
此処に最終的に彼等が来る事も分かっていたので、丁度良い。
雷堂を兄の様に慕いたい自分を尊重して、せめて見送りだけでもしたかったのだ。
「どうなんでしょうかね、お狐様」
左右に鎮座する狐の像に、愚痴を零す人修羅。
「あの眼帯、取れれば良いんですけど」
項垂れて、像が挟む階段に腰掛けていると、そんな彼に舞い降りた希望。
「功刀さぁ〜ん!」
正真正銘、本物の、女の子の声である。
見上げた人修羅が、嬉しさ(というか安堵)をその表情に滲ませる。
巻き毛の西洋人形の如き少女が、手を振って駆けて来る。
「凪さん!」
「各地の名も無き神社を、今廻っているプロセスです!」
その十八代目ゲイリンの突然の出現は、どれだけ人修羅の心を潤したろうか。
他愛も無い話をしながら、汚れの無い空気を吸って、午後の散歩。
ああ、これこそ俺の求めている形だ。と感動しつつ、人修羅は微笑んだ。
「鈴緒を引けば使者の方を呼んでしまうので、お賽銭だけのセオリーです」
悪戯っぽく笑った凪が、小銭をからりと賽銭箱に投げ入れた。
「あっ、俺も…」
デジャヴ、であった。
また小銭すら持っていない己を呪う人修羅。
それに気付いた凪が、愛らしいちりめん素材のがま口を開いた。
「はい、これ、功刀さんの分です!」
女の子に小銭を貰うという事実に恥じらいつつも、彼女の心が温かい。
「ぁ…りがとうございます…ってかすいません…はぁ」
人修羅は真っ直ぐ視線が合わせれないままに、小さく呟いた。
掌に受け取ろうとした、その触れ合いの瞬間。
ばんっ
彼の掌に落ちてきたのは、銭では無かった。
固まる凪と人修羅。
人修羅の差し出した掌には、お札が数枚。
「はぁ…はぁっ…はぁ…これ、を、入れると、良い」
凪と人修羅を割るようにして、ゆらりと影が叩き付けてきた。
「ライドウは五萬と…っ、以前君から伺ったので、なっ…」
息も荒いまま、桃色眼帯が肩を上下にぜえはあと、更にお札を追加した。
ばしっ、と人修羅の掌ごと握って、ニタリとする雷堂。
「倍だ、十萬……っ」
前のめりの雷堂、そのホルスターの中でたゆん、と揺れた胸。
それを見て、凪が困った様に笑う。
「あ、の…???功刀さん、この方は…」
「知りません」
反射的に返事した人修羅に、ショックを隠しきれない雷堂。
よく見れば、激闘の末なのか、身体中に傷を作っていた。
「矢代君!知らぬとはどういう事だ!?」
がしりと両肩を掴まれ、思わずヒイッ、と悲鳴を上げる人修羅。
慌てた凪が、ボロボロ外套の変態を背後から制する。
「ストップ!どの様な間柄かは分かりませんが、落ち着いて下さいっ!」
「君が話に聞く凪君か!?そうかそうか君が!!」
人修羅からがばりと向き直り、凪をジッと見つめる雷堂。
「ふむ、確かに我にも解る……矢代君が好感を持つのが」
まるで姑の様に、凪を上から下まで食い入る様に見る変態。
「あの、その眼帯、可愛らしいですね」
「ん?これか?」
「はい!プリティです!とても良くお似合いです!」
「そ、そうか?フ…云われると悪い気はしないな」
悪気の無い凪の感想に、加速する雷堂が怖ろしい。
人修羅は握らされた十萬をちゃっかり懐にしまって、声をかけた。
「雷堂さん!いい加減にして下さい!俺またこの手斬られちゃいますから!!」
握られた手をわきわきとして、それなりの剣幕で雷堂に突っ掛かる人修羅。
あの記憶が甦り、ヒヤリとしている様子。
「案ずるな、すれば次回こそは我の手を着けようぞ?」
満面の笑みで怖ろしい事を云う辺り、眼帯の魔に魅入られている証だろうか。
あまりに正直な意見で、人修羅が強張る。
もう、雷堂が発狂しても仕方ない、と自分を赦した。
「すいません雷堂さん…っ!その気味悪い眼帯取って、一度ぶっ倒れて下さい」
着物の衿が角でくい、と押し退けられた。
項も露わな、悪魔体と成った人修羅に、雷堂が笑って云う。
「女体は頂けぬが、これが我の真意と知るのだ…矢代君!」
「違うッ!雷堂さんはもっと葛藤してるっ!」
人修羅の放ったアイアンクロウを舞い避ける雷堂。
その華麗な動きに、賽銭箱に隠れつつ見る凪が感嘆の意を漏らす。
「素晴らしいステップ!まるでライドウ先輩の様です!」
どっちの味方なんですか、と少し哀しくなった人修羅が
続けて第二撃を放つ。
初撃で捲れ上がった石畳が、その二撃目で粉砕される。
散っていくその影に紛れて、人修羅の金眼が光った。
その視線はハートの端、紐に注がれている。
「雷堂さんっ!目を醒まして下さいっ!」
至高の魔弾が、眼帯を外さんと光の帯を一筋紡いでいった。
粉塵の中、己に向かって来た光を認識した雷堂。
咄嗟に大太刀を振り上げる、その反動で身体の上体を反らせた。
「うまいですっ!」
凪の声と同時に、眼帯に当たる事の無かった魔弾が遠くの木々を折っていった。
鳥たちのさえずりがその遠方から流れこんでくる。
「くっ」
外して唇を噛む人修羅に、体勢を戻して大太刀を構えたライドウ。
「矢代君…煙に乗じたのは中々だったが、しか」
しかし、まで云い切らぬ雷堂に、鮮血が撥ねた。
台詞を止める雷堂、眼の前で血溜まりに倒れこむ人修羅。
凪が悲鳴を上げる。
「矢代」
静まり返ったその瞬間、酷いタイミングで境内に踏み入れた人影。
「おい………」
赤い海に突っ伏す使役悪魔に駆け寄り、身体を揺すった。
「何寝てるんだ君…低血圧にも程があるぞ…」
そして、返り血に染まる雷堂を見上げた。
その眼で射られては恐怖を感じ無い程の、鋭い視線。
「雷堂…お前、どうやら本気で手に入れたかった様だな」
「…おい、ライドウよ」
「だがね、これの魂までは渡してやらぬよ…さあ、管を抜け…十四代目!!」
立ち上がり、数本まとめて指に挟むライドウ。
「待て!我は一太刀も浴びせておらぬぞ!」
そう弁解する雷堂が、前方への構えを解いた。
すると、ライドウの眼の前で豊かな、それでいて形の良い胸がほろりと零れた。
「………」
その胸を見て、ライドウは一瞬にして、今まで抱き寄せてきた遊女達の
その誰よりも手触りが良さそうだとかを思ったが、あえて公言せず。
「ぅ…ぅう」
下からの呻き声に、チラリと視線を落としたライドウ。
胎に足先を入れ、ぐい、と人修羅を仰向けに蹴り転がす。
「く、功刀さん、出血多量では」
凪の声は、何故そんなに出血する?と疑問めいていた。
それもその筈、出血の出処は鼻腔であったのだから。
あの、逸れた魔弾は、雷堂のホルスターベルトを貫いていた。
その為、人修羅は真正面からぷりんぷりんの胸を見た訳で。
そして男児らしく墳血したのであった。
「ぅ…ラ…ライドウ?よ…夜…っ」
「…」
「は、はは…なんだろ…あんたの声に起こされた気が げはぁあッ!!」
意識を戻した人修羅に向かって、脳天に蹴りを喰らわしたライドウ。
「………永遠に寝て給え、愚図め」
どこかバツが悪そうなその態度。
どうやら一瞬でも動揺した自身に非常に腹が立っている様だ。
再度うつ伏せに突っ伏した人修羅を見て、既に上半身裸の雷堂が叫ぶ。
「どうして貴殿は毎回毎回、彼に辛く当たるのだ!?」
説得力に欠けるその姿。
「なのに、どうして貴殿についていくのだ!?彼は……っ」
しかし、その眼に溢るる涙は、真実のものである。
「くそ…っ、魔具の力を借りても、何も伝わっていないではないかッ!」
ブチリ、と自ら外した眼帯の桃色が、雷堂の掌で輝く。
「ぅあ、ああああああああ!!!!」
もがき喘ぐと、身体の唐突な変化と共に雷堂の意識を暗雲が覆った。
どさりと崩れ落ちた雷堂を見る凪が、口元を押さえて声を震わせる。
「ど、どうされたのでしょうか」
「馬鹿な奴、欲求を糧に擬態していたというに…眼帯に意識を持ってかれたか」
フン、と鼻で笑ってライドウが雷堂に歩み寄った。
「そんなまでして、人修羅を得たかったのか…?明め」
雷堂の掌で光る妖しい桃色が、ライドウを哂わせた。
「そんな物に頼らねば発露すら出来ぬのかい?お前は」
リン…
ハッと、鈴の音に振り返るライドウ。
其処に立つ黒い影。
「十四代目…そこに倒れる者…貴方の影、ですね?」
「…ええ…だとすれば、何でしょうか?」
いつもの暗い笑みで、使者に返すライドウ。
凪は人修羅に駆け寄り、様子を見ている。
「平行世界の帝都を崩す訳にはいきません」
「良いか、絶対、挿入させるなよ」
「…承知している、元より、そのつもりは無い」
「…どうだか」
待合茶屋の一室、眼帯を右眼に輝かせる雷堂が、そこには居た。
「僕とて、お前にみすみすアレを撫ぜさせるつもりは毛頭無いのだがね」
酷く苛々した声音のライドウが、雷堂を静かに恫喝する。
桃色の魔具に魂魄を剥がされぬ為には
少しでも沈んだ欲求を叶えるのが方法との事であった…
「くそ、使者め…何故あの場に丁度来るか」
烏が云う、平行世界の十四代目が身動き出来ぬのは問題であると。
あの馬鹿馬鹿しい魔具でさえ、魂魄を剥がす程の呪いを持つ。
平行世界が乱れれば、此方の均衡が危ういと、そう提唱するのであった。
再び装着された眼帯は、雷堂の魂を呼び戻した…
だが、外しても抜け殻にならぬ様、付入られる隙を埋めなければならない。
そう、欲求解消で。
「お陰で僕まで叱られた、最悪だ」
切れた唇の端を舌で拭って、吐き捨てるライドウ。
いざなれば、雷堂を殺さんとするその姿勢を“厳重注意”されたのだった。
「その欲求から解消された瞬間、すぐ人修羅から離れ給え」
「…」
「更に更にと望む様なら、諦めてその身体のままで居給え、それで帝都守護が出来ぬとは云わせない」
「…貴殿の烏が…結合を容認してもか?」
暗く笑った雷堂に、ライドウが掴みかかる。
擦り切れた襟首を掴み、廊下の壁に押し付けた。
「…してみろ……人修羅と重なって死ぬ事になるぞ、僕の刀で、ね」
「ふ、ふっ…それは本望、だ」
「汚い手垢つけて満足したなら、さっさと眼帯を置いて帰り給え!」
ライドウが、閉ざされた障子を開け放ち、雷堂を部屋に放った。
「…矢代君」
人修羅が、その声にゆるゆると瞼を上げる。
やがて周囲の様子に、声を張り上げた。
「…あの…俺、何、なんです、此処…!?」
「少しばかり、こちらの烏に迷惑をかけるぞ」
がばりと起き上がった人修羅、しかし布団の上で手脚を括るは赤い布。
よく見なくても判るのか、それをチラリと見て、笑った。
「ライドウ、あの野郎…俺を売りやがったのか、く、あはっ…傑作ですね」
人修羅を封じる術に長けているのは、人修羅のサマナーであるライドウだ。
つまりそのライドウに、烏は緊縛術を施させたという事である。
「矢代君、我の身勝手な装着がさせた、大変申し訳無いと思っている」
横たわる人修羅の頭を挟む様に、両手を布団に着く雷堂。
横を向いたままの人修羅は、雷堂を見ようとしない。
「すこし君の肌の温もりを、分けてはくれまいか?」
「…」
「そうしたら、この眼帯も剥がれよう…」
そっと抱き締めると、雷堂の胸が当たって押し潰された。
管が抜かれているホルスター、その千切れたベルト箇所は結んであった。
流石にその膨らみに、人修羅が口を開く。
「胸、当たってますけど」
「当てている」
「破廉恥ですね」
「良くないか?どうすれば良い?矢代君」
抱き締めたまま問う、人修羅の鼓動が、肉厚な壁を越えて伝わる。
その動悸に、雷堂が確認をした。
「矢代君、何故緊張している?」
「だっ、て!…その……」
「女性は初めてか?」
そう問えば、人修羅が頬を紅潮させて唇をぎゅう、と咬んだ。
そんな反応に、どこか嬉しげな雷堂は、人修羅の下をやんわり触る。
「こんな状況に見舞った事、君にとっては忌々しい事この上無いと思うが」
「ん、っ」
「このふざけた眼帯に、たった今ひととき、感謝している」
するすると、細い指で撫ぜ上げられると、人修羅が脚を捩る。
「安心してくれ、君を中には入れぬし、君の中を穿つ真似もせぬ」
クスリと笑って、動けない人修羅の着物を開いていく。
悪魔のままの肌の、その美しい全体にうっとりしていた。
ずっと見ていたなら、それだけで勝手に満足してしまいそうな感覚である。
「俺なんか触って、何が楽しいんだか…」
呟く人修羅に、雷堂はとんでもない、と返す。
「悪魔でも人でも、どちらでも好い…」
曝け出させた下半身の、人修羅の雄はやんわりと張っていて
雷堂はそれに覆いかぶさる様にして胸を当てた。
その異様な動きに、人修羅が慌て始める。
「ちょ、っと待って、待って下さい」
雷堂は返答する前に、胸の谷間にそれを通した。
ホルスターの結び目と、それが寄せ上げた胸の谷間に挟まれるアレ。
「なっ、に、変態じみた事してんですかっ、貴方はッ」
「孔が使えぬなら、擬似的に君を良くしてやらねばと思い立っての事だ」
前後に揺さ振られると、人修羅の声にいつしか艶が出る様になった。
谷間を滑るのは、汗なのか先走った液なのか。
ぎゅぷ、と音がし始めて、雷堂が口を開いた。
「矢代君」
「ふぇ、へ、変態と聞く口はっ、無いですっ、ぁ」
「そうか、ふ……ならそのまま戯言を聞いていてくれ」
「ぁ、っあぅあッ」
「こうしてはいるがな…結局は虚でしか無いのだ」
腕を胸に寄せて、更に締め上げた雷堂、どこか悔しげに。
それに伴い、ぐにゅりと胸で圧迫された人修羅が喘ぐ。
「君は望んでおらぬ…我とて、この姿は偽りの己で…」
「ぃ、ぁ、あっ」
「眼帯に頼らなければ、こうして満足に触れる許しすら得れなかった」
ぬぷり、と隙間から解放して、雷堂はすっかり張り詰めた其処を見る。
「どうか?男では無理と思い、致したが」
「っ、だ、駄目、ですっ…い、まのッ」
泣きそうに顔を歪めて、人修羅が上擦った声で白状する。
「正直、危なかった、です…」
「別に、出して構わぬのだが」
「お、俺一応プライドってのが、まだ残ってんですが……」
乱れた着物で云う台詞では無い。
「女人なら、先刻見たサマナーの少女が近しい間柄とは思うが…」
「ぁ、ちょっと!ッ」
舌先で、ぺろり、と舐めた。
雷堂は、その口内に咥える事無く、舌でべろりと包み上げる様にする。
「君の、事だ…っ、はっ、はぶ、っ」
「もうそこヤ…ッ」
「人の女性と触れ合うなぞ…っ、考えて、おらぬの、だろうっ?」
「!!……っああッあ」
一度舌を離した雷堂が、流れる汗を拭う為に帽子を脱いだ。
黒髪を縫って結ばれた眼帯の紐が、彼(彼女?)を捕らえたままである。
「咥えても良いが、それなら我も歯を折るつもりだ」
笑って云えば、息も絶え絶えの人修羅が左右に首を振った。
角でその動きは制限されていたものの、必死に振っている。
「ふ…冗談だ、だがな…この期が都合良いので、云っておこう」
少し哀しげな表情で、人修羅の耳元に唇を寄せた雷堂。
金色の眼を、その眼帯の下に共鳴させ、告白する。
「歯の無い君の口、酷く気持ち良かった」
目を瞑る人修羅、追い打つ様に、雷堂が続ける。
「今、我は女人ぞ…この触れ合いに、後ろめたい事は、何も無い」
汗に濡れた人修羅の額を、そっと指で梳いた雷堂。
台詞と裏腹に、眉根を顰める。
「だろう?矢代君…!そういう事に…しておいて、くれ」
「雷堂さ、何云って、ん、ぅ」
唇を塞いだが、しかし舌は入らない。
彼の中に、自身の一部が入ってはならぬのだ、と雷堂は必死に言い聞かせる。
決して、それが舌の先だろうが。
「ぷ、はっ…ら…雷堂…さん」
比較的早く退いた唇に、人修羅から言葉で咎める。
「俺、確かに…っ…男と寝るなんざ…御免です」
「…ああ」
「でも、云われたみたいに、女性と関係を持つのは、もっと無理です」
苦悶の表情ばかりだった人修羅が、ようやく微かに微笑む。
「こんな化け物と関係したら、可哀想、でしょう…?幸せにしてやれない」
その言い分に、雷堂が眼を見つめた。
「だから、女性の身体と触れ合うなんて…多分最初で最後です、からね」
「…そう、か」
「でも、身体が問題じゃ、無い…雷堂さんが…」
人修羅は一瞬云い澱んで、そして吐き出した。
「そんな間抜けな眼帯着けてまで、俺を求めて女体化したのかと思ったら…」
「…」
あまりな人修羅の言葉に、伸ばされていた指も止まる。
ハッとした人修羅が、慌てて言葉を繋げた。
「…あ、すいません、いや、だから雷堂さんの、その!感情的にですね!?」
「くっ…ははははッ、いや、いやいや大いに結構…!」
似たようなタイミングで、互いに云い合う。
「そう、か、あい分かった…矢代君」
ひとしきり笑い終えて、雷堂がくすっと悪戯っぽく笑う。
「ではこの変態からの、せめてもの餞別だ」
ぎゅむっ、と胸の谷間から人修羅の雄を覗かせて
口元にきたそれの頭を舌でペロリとし始める。
ぎょっとした人修羅の腰が引けるが、逃がさまいとその腰骨を抱く雷堂。
上に上がる腕に、自然と胸が寄り、人修羅をぎゅうぎゅうとする。
「ぁ あ゛ぁあ〜ッ!!やっぱおかしいッ!!この変態ぃッ!!!!」
叫ぶ人修羅に、雷堂は苦笑しながら女体を存分に揮った。
先端を、くりゅ、と舌先で軽く抉れば、人修羅の断末魔。
雷堂は放たれた白い蜜を、人修羅の胎を舐めて啜った。
どこか満足気に、焦燥しつつも、感じていた。
(そう、か、女体だから赦した訳でも無く、我の真意は知っての事か)
ぷつり、と、眼帯の紐が切れた。
「君を得る為の、変身願望は棄て去ろう…矢代…」
ぽつりと呟いた雷堂は、男の身体でぎゅ、と一度だけ、人修羅を抱き締める。
そして着物の合わせを正してやると、意識薄弱の人修羅に一礼して立つ。
ピンクの眼帯を掌に握り締め、溜息と共に部屋を出た。
もう、この帝都に雷堂ちゃんが現れる事は無いだろうと、そう願って…
『あのラブリー眼帯、実は私の発注ミスでした』
『素胸にホルスターは私の提案です、学生服が窮屈との事でしたから(にやり)』
『しっかしそれが揺れるのなんのってぷりんぷりん!』
『何がイイって!あの仏頂面にピンクの眼帯のアンバランス!』
『そして乙女の恥じらいを一切棄て去った漢の動き!口調!』
『そして悲恋!!これは是非推したい(きりっ)』
『はぁ、はぁ、ラブリー眼帯雷堂ちゃん萌えぇえええ!!!!』
後日、カマエルが仲魔にそう語っている場面を業斗に目撃され
解雇勧告を受けたのは云うまでも無い。
雷堂ちゃん〜ラブリー眼帯の秘密〜・了
↓↓↓あとがき↓↓↓
酷いなこれ。元ネタは『十兵衛ちゃん〜ラブリー眼帯の秘密〜』です。
ちなみに…おまけで、部屋を出た雷堂のその後があります。
ライ×雷(女体)でエロエロです、本当にすいません。
おまけにこっちは暗いです。それでも良いかたはどうぞ⇒「桃色眼帯っ装☆着!」
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