「はぁ…はぁ…っ」
解消されない、何も咎めない、あの煩い罵倒も痛い蹴りも無い。
そうしてもう何日目だ?
「…何だ…俺に文句のある奴…もう居ないんですか…ねぇ…」
堕天使の城…噴水と、薔薇にも似た花々が美しい庭園。
そこで俺は、珍しく悪魔の団欒に参加していた。
俺単独の出現に、はしゃぐ悪魔達と、その逆も居る。
その、逆の類を、今貫いて…噴水に投げ棄てた。
ばしゃん、と溢れる水が、石畳を色濃くした。
「ねえ!!居ないんですか!?もっと居ますよね!!俺の事、憎いと思ってる悪魔!!」
眼元で薄く哂って、俺は伯爵から受け取った豪奢なケープを翻す。
鮮血色のそれがあれば、せめて身体に返り血はかからない。
「半分人間の、半端者が赦せない筈でしょう!?それともまさか、怖気づきました?」
足下に跳んできた雑兵を、横に薙ぐ様にして蹴り飛ばす。
花の生垣にばすりと命中して、綺麗な花弁が舞った。
その舞う花弁すらうざったくて、金色のこの眼球をぎろりと動かす。
ひらひらと蝶の様に舞うそれ等が、一瞬で灰になった。
その瞬間、周囲の敵も、味方さえも息を呑んだ。
「…俺、主人に叱られてばかりで、こんなに弱いんですよ?…ぁは…はっ…」
なんだ、もう、何故か笑える自虐の台詞。
ビクつく周囲に、流石に冷めてきた…
『ヤ、ヤシロ様…』
小さく唱えて、一匹が跪けば、その隣が倣って跪く。
輪唱していく様に、勝手に道が出来た。
皆、震えている、こんな俺が、珍しいから?
普段と違う恐怖に震えるのは、悪魔も同じなのか…?
「………他言無用で、お願いします…特に、閣下には」
そう呟いて、庭園を後にする。
(何してんだ、俺)
酷い行為に走っている。普段行きたくない城に、逃げ込んで。
支配の側に、一瞬でも溺れて、普段の立場を忘れたくて。
もう、本当にあと少し、あと少しだというのに…
何かが爆発しそうだった。
(何が?)
城で用意される自身の部屋で、ケープを金細工のコートラックに掛ける。
色々吸って重くなったそれに、少し傾くラックが煌く。
世話焼きな伯爵が来る前に、浴槽に張られた水に、一糸纏わぬ姿で突っ込む。
俺の為に用意されたソーマの風呂、猫脚バスタブに似合わない贅沢風呂。
(…ソーマ)
苛々する、胸がざわつく、確かにこれでは魔力はすぐ満ちるだろうと思う。
現に、先刻使った分は既に補充された。
「おかしく…なるっ…」
独りごちて、濡れた前髪を膝頭に擦り付けて、脚を抱え込む。
「俺…俺…どうしたんだ…なぁ…功刀矢代……こわ、い」
此処に在るものは、全て俺の為の物なのに、充たされない。
先刻の俺も、俺では無い…此処に居るのも、やはり俺じゃない…
何故か寒くて、薄い遮水カーテンをするすると捲った。
部屋の窓の向こう、黒い月が嗤っている。
「…ぅ……」
あと少しの辛抱だったから、だからこそ此処に逃げ込んだのに。
もう我慢が限界に達した。
あの、似てはいるが別物の月を見ただけで、もう駄目だった。
両の眼の熱さに、ソーマの水滴を散らして立ち上がる。
濡れそぼる身体を、用意された上質の巾で拭って、着衣を纏う。
此処に来る時は、いつも洋服にしている。
「…」
現代の東京で、ライドウが見繕った洋服と靴だった。
あいつ…わざわざ高いセレクトショップで選びやがって
あの時はただの浪費家と思った…が、実際はどうだ。
傍に置かれる、煌びやかな細工の姿見を見た。
真っ黒に染め上げられ、身体のラインが淑やかに出た姿…
俺に纏わす闇色を、一番理解していなければ買えない、こんな服…
合わせられた靴は、皮膚を虐める事も無く、あまりにぴったりだった。
(別に、狙って着た訳じゃ無い)
誰が好き好んで着るか、今のライドウへの、当て付けに決まっている。
部屋を出て、晴海の教会へと還る…
倉庫の一帯は、未だに危険区域として機能停止中だった。
解決したのにな、と思いつつ、通過する。
黒尽くめの俺を、道往く人が振り返る。
当然だ、この大正にこれは、少し異質だ…
でも、それでもう良かった。
異端と、異常と罵られても、それに刃向かう気は無かった。
銀楼閣の傍まで来た頃には夕暮れで、窓を見上げて確認する。
灯りは無い。好都合過ぎて、もう歯止めは消えたと思った。
晩御飯を用意する必要が無い事に、俺は歩みを再開させる。
やがて、闇が降りてきて、霧も深まった…森に入る。
「穢れた身ですが、失礼します」
両端に構える狐様二体に挨拶して、その拝殿の格子戸を開いた。
静まり返ったその空間、ぼんやりと外の灰明かりでしか視えない拝殿内部。
俺は、葛葉どころか悪魔だから、入った瞬間に圧を感じる。
強制的に悪魔に成った身体、服の隙間から斑紋が浮かんでいた。
項から突き出た突起を阻む衿が無い事に、可笑しくて笑った。
あの男、この角の為に衿無しにしたのか?
(だとしたら、相当嫌味な野郎だ、やっぱり)
壁に居座る、数々の武器を指先に確かめて、廻る。
ライドウに酷使され、その刃先を零しても…
まるで待ち望むかの様に、刀達は静かに眠る。
血を吸わされ、悪魔を込められ、まるで合体素材の一部だというのに。
主人を待ち望む理由を…意思を持たない刀と、共有した…
きっと、自分を一番、上手く使ってくれる…
それが血塗られた道でも、一番美しく見せてくれる…
その瞬間…その刹那が…
「…」
懐かしい魔力の形に、歩みを止めた。
その刀を、壁から外して、抜刀する…
ぬらりと光を反射して、俺の不安げな金眼が、刀身に映り込んだ。
それの柄を、慣れない手付きで掌に馴染ませていく。
深く、息を吐いた。
前の前の前の満月を思い出す。
「っぐ!!」
左腕の付け根、あの瞬間、先ず最初に斬られた腱を斬った。
迸る血が、黒服を染め上げて、滴る血が床板を鳴らす。
「っはぁ…っ…はぁ…」
前の前の満月を思い出す。
「ぐぅ…ッ」
右脚の腱を裏側から一閃。片脚がぐらりと勝手にぶらつく。
左脚が反射的にそれを支えて、膝をつく。
駄目だ、やっぱり上手く斬れない、素人の俺では。
(全く、違うじゃないか、感触…)
自嘲しながら、前の満月を思い出す…
「がふっ!!」
左脚の腱を、浅く持った刀で斬れば、俺はどさりと前方に倒れこんだ。
右腕以外、もうこれで動かない…
「は…っ………は…ぁっ…」
もう思い出せる満月は無い。
今日がその日なのに、仕上げの出来る奴は居ない。
右腕で握り締める刀から、記憶が甦ってくる…
マントラから、俺の血を吸い上げ始めた、その刀。
十四代目葛葉ライドウが、ボルテクスで愛用していた刀。
俺の血を、一番多く過去に吸った、古株。
流石に放置されていた所為か、切れ味は微妙だった。
(放置されていたから…)
まるで誰かの分身みたくて、哀しくなった。
今、とても静かで…とても深く眠れそうだと思う。
久しい痛みに、俺の身体が落ち着きを取り戻し始める…
澄んだ水の様に、濁りの無い感覚が、ようやくもたらされる。
この動けない身体に、ようやく安息を約束された気がする。
(狂ってる)
未だ動く右腕が、しかしどうしても赦せない、赦せない…
あの男は、こんな不完全な仕事をしない。
掴んだ刀で、傍の壁を適当に突いた。
ガチャガチャと落ちてきた武器のひとつが、眼前に飛び込んできた。
「…ぅ」
重い刀を床板にそっと置いて、その銀色の塊を掌に収める。
使い方くらい知っている。幾度も俺に向けられた照準。
その瞬間の奴の指の動きが、脳内に鮮やかに甦る。
ごりゅ、と、耳の上辺りの頭蓋に押し当てる銃口。
(これで死ねる訳無いとは解ってる)
でなければ、俺に実行力は無い。
カシャン、と、撃鉄を起こす音が鼓膜にまで振動する。
(忘れたい…全て)
東京が受胎した事も、俺が悪魔に成った事も…
あの憎いデビルサマナーに使役されている事も。
(そう、せめて、最後の項目だけでも消えてくれよ…)
コレで脳を揺らせば、葛葉ライドウとの記憶さえ吹っ飛べば…
また一から、お前を憎めるのか?
純粋に、憎しみだけを抱けるのか?
(憎みたい)
憎みたい、憎みたい憎みたい憎みたい憎みたい憎みたい。
俺はあいつを!
パン
乾いた音。確かに、揺れた脳内。
だが…俺の右手には、銃は無い。
ゆっくりと、首だけを背後に逸らす。
逆光に光る薄闇の眼が、俺に向かって銃口を向けていた。
見事に弾かれた俺の銃は、遠くへと滑っていった後だった…
身体が、動かないのに、それがまるで予定調和の様な錯覚。
迫ってくる闇が、俺の鼓動を早くする。
と、同時に…還ってきた心地にさせる。
傍に置かれた刀を拾い上げ、ライドウはその刀身を弧を描いて掴み直す。
次の瞬間、右腕の付け根に、激痛が奔った。
「ぅ、っあ、ぁああああ!!」
馬鹿な俺、何を叫んでいるんだ?
真っ直ぐ降り注ぐその、俺へ向けられた行為が…
「ふ、っう…ッぐ……ち、が…っ」
見上げて睨み付ければ…しっかりと俺を見つめ返すその闇の双眸が…
「ぁ、ぁああぁぁぁぁあ、ち、がう、違うんだ!違うんだぁあああ」
酷く懐かしく感じるのに。
必死に首を左右に振り被る、だってそんな、認めるか、誰が。
俺は…俺が望んでいるのは、人間の身体で…
もっとこう、平穏で…
「っぐ」
たくし上げられ、外気に晒される背中の感触に、一気に脳内が覚醒する。
降り注ぐものが何か、もう知っている。
でもその色が絶望だけで無い事に、絶望したくなる。
ぐい、と身体を蹴り押され、向き直らされると、格子からの光が見えた。
朧げな明かりが、満月の到来を予感させる。
と、その途端、風切り音に背中が裂ける感触。鞭のしなる音。
「ひぎっ」
食い縛った隙間から、泣きそうな声が零れ始める。
何故泣きそうなんだ?痛いから?それとも…なんだ…
容赦無い叱咤の雨に、あられも無く声が上がる。
「あ ぁ ぁあ あ゛〜ぁあ あッ」
穿つ度、断続的に漏れる悲鳴、いつもの事。
これが、これが…日常…だった、そういえば…
ゆっくりと侵蝕されていく意識の中…視界の先の月明かりが鮮明になる。
背後に、接近の気配…
訪れた…満月。
「僕の声が耳に入らなくて清々しい数日間だったかい?功刀君…」
耳元で囁かれた、低めのそれ。
まるで、はしたなく達したみたいな絶頂感。
ぞくぞくと全身を駆け巡った…ライドウの声。
脳天から爪先までを、毒の様に充たした。
「ひ……っ」
がっくりと項垂れた俺に、その声はまだ降り注ぐ。
「満月まで、待てすら出来ないのか…犬以下だな」
その嘲りを含んだ声音に、怒りと同時に何かが込み上げる。
腰に跨るライドウが、そのまま背中を指で撫ぜた。
奔る激痛に、呻いて肩を張る。
ライドウが、背後から…その傷ごと、俺の身体を掻き抱いた。
「背中…また僕と御揃いに成ったね」
色んな意味を含むその言葉に、俺は眼の奥が熱くなった。
痛みを超越して、もっと別の何かに昇華し始める、狂った感覚。
「いっ!」
「ソーマの薫りがする…」
身体を離され、続いて髪をぐしゃりと鷲掴みにする、慣れたその手付き。
強制的に視線を合わさせるその行為に、歯がカチカチと震える。
見ないでくれ、見ないで。
「何故泣いているの、君…」
「…」
「ククッ…人間みたいだよ、それでは…」
煩い男だ、やっぱり、だから俺はまだ人間の部分が残っているんだと…
何回云えば、納得するんだ…
「知っているか…?ソーマはMAGを満たしてはくれるが…」
「あぅッ」
「僕を充たしてはくれない」
咬み付く様な接吻。
注がれるかと思えば、吸われる俺の魔力。
吐いたものを呑んで、それをまた吐いて。
中味が入れ替わってしまうのではないだろうか、不安になる接吻。
「んっ、んんぅうっ…ん〜っッ…!!」
零れる唾液に血の味が融けて、くらりと眩暈が襲う快感。
ああ…駄目だ、もう、おかしくなる…
ようやく与えられた毒に歓喜する肉体が、中毒症状を思わせる。
絡む舌が唇をひと撫ぞりして、ようやく離れていった。
「ふっ…はぁあっ……ぜぇっ……ぜぇっ…」
ぐったりと、床に頭を寝かせた俺は…だらしなく舌を突き出して息をする。
自身の紅潮した頬を、その熱で感じる。
「動けぬ状態が好き?功刀君…」
「…っ…知…るか…」
「四肢を削ぐなら僕がしてあげるのに…自慰みたくせずともねぇ…?」
「っ!!違…」
「自殺したかった?」
その問いに、俺は返答する気になれずに視線を逸らす。
しかしライドウは、うっそりと哂った。
「やはり似合っているよ、この服」
「…」
「だが…勘違いするなよ?これは喪服とは違うのだからね」
ぐい、と首元を掴まれ、抱え起こされる。
痛い背中が泣くように血を流す。
ライドウの手に、それが伝って、滴っていく…
「自分で死んだら…赦さない」
無表情に呟くライドウの眼が、俺を縛り付ける。
「殺す特権は、互いに与えてあるのだから」
「…ラ、イ」
「ねえ…葬式ごっこ…しようか……功刀君…」
無表情が、怖くて、俺はその戯れに乗る。
どうして、ライドウの手は震えている。
「学生服と黒服で…参列には適しているだろう」
「…どっちの葬式だよ」
「どっちのだろうね」
そのまま抱き寄せられて、冷たい床板になだれこんだ。
「こうしてふたりで棺に入って…地獄の業火に焼かれて…」
耳元で呟くライドウの声がどこか遠い。
どうしてか、まどろんでいる…
「墜ちて逝くのだよ…悪魔を駆った罪人としてね…」
「…」
「前の満月から、どうだった?気分は良かったかい?」
「…別に」
「僕から見れば、君は酷く暴力的で、普段より強かったが…」
ニタリと哂うその顔に、どきりとする、まるで嘘がばれた子供みたく。
「死んでいたね」
俺と視線を合わせなかったくせに、この男…見ていたのか。
「悪趣味だな…やっぱりあんた」
「ほら…その眼…生き返った」
馬鹿にしているのか、俺を。
「君を虐めてやろうと思い立ってした事だったが…魔力転換もお手玉も出来なくて、糞つまらなかったよ」
無茶苦茶な事を吐いて、このデビルサマナーは俺に圧し掛かった。
「つぅッ!せ、背中…ッ」
「知ってるよ、その痛みは」
そう云うライドウの眼に、一瞬陰りが過ぎる。
それを見て…どうして切なくなる。狂った俺。
「相変わらずな下手な戦い方だったね君、突っ込みを入れるのをかなり我慢させられた」
「黙れよ…無視ってたのは何処の主人だ、ネグレクト野郎…」
「戦闘が駄目なら、やはりこちらで満足させてもらうしか無いかな?」
動けない事を、呪うべきか?
それとも…言い訳にするべきか?
「葬式は当分…お預けだ」
俺を見下すその双眸の、孕んだ欲に安堵する。
「僕が召喚皇に成るまで、無理矢理生かしてあげる…矢代」
夜に喰われて、安息のまままどろみに沈む…
満月の夜
俺はライドウに此処で…
調教という名の子守唄を聴かされていた
なあ…でも…
本当にお預けを喰らっていたのはどっち?
無表情は充たされていない証拠だ。
この数日間、俺は、ライドウの無表情が、とても…怖かった…
俺を見ようとしない、夜が怖くて、怖くて…
俺の存在を確かめたくて、俺という武器を手にとって欲しくて
啼き続けた、なんて馬鹿だ、俺は。
人間までは当分…お預けだと思う……
夜に喰われながら、憎しみに混ざる不純物を呪った。
名を呼ばれて、求められて…
凄く…気持ち良かった。
人形の様に揺さ振れば、人修羅が断続的に漏らす子守唄。
とても心地好い、数日振りの喘ぎに安堵する。
数日間の空虚感が埋まる瞬間。
悪魔を駆っても狩っても得れぬ、この高揚は。
いつからこうなった…
悪魔に在り得ぬ涙で、金色を光らせる人修羅。
その眼を見れた事に、身体が疼く。
いじらしく、もっと僕を求めておくれ。
捨てられた愛玩動物の様に、下界の僕を睨む眼。
自ら僕の刀を振るったその瞬間の、惑う眼。
揃いの背中を歓ぶ僕を哀れむその眼。
繋がるこの瞬間の、恐怖が悦楽に変わる瞬間の眼に溺れさせて。
ねえ、僕の選んだ黒を身に纏う君が、とても可愛い。
嬲り倒したくなる。
その黒を血で、もっと闇に近くしたくなる。
もっと僕に近くしたくなる。
殺し合いという存在確認が甘く麻痺させる。
「矢代…」
囁けば返ってくる。
「よ、る…夜ッ…」
その苦痛に歪んだ中に在る僕の名前が好き。
僕の魂まで引きずり込む呼び声を、他に知らない。
十四代目の責務で呼ばれるそれとは違う。
本当の僕を奥底に求める様な、その泣き声を…
ねえ…この瞬間だけ忘れさせておくれ…
いつかくる葬式を…
いつの時代の満月までも…
ずっとずっと、お預けで宜しく…
「ずっと戯れていようね…矢代…」
返事を待たずに唇に咬みついた。
子守唄を聴かせて・了
↓↓↓あとがき↓↓↓
12345hitリクで頂きましたテーマ「お預け」より。
どうでしょうか?お預けだったでしょうか?
暴れるライドウが書けなくて、中盤は私もお預け状態でしたw
鞭が似合うライドウって一体…
(しかし、痛みを共有したがる彼は、やはり渇望していると見えますね)
「人修羅が、耐え切れなくなってライドウの刀で自傷する」
あの場面がどうしても書きたかったのです。
お預けに耐え切れず、四肢の自由を自ら奪おうとする…
そんな痛みすら、存在を保つ為ならば厭わない。
壊れている人修羅…
それに依存するもっと壊れたライドウ…
互いを「お預け」で甘やかす…イカレた日常。
相手の子守唄が無ければ安息の眠りにつけぬ、狂った関係。
…城で憂さ晴らしする悪魔的な人修羅が、書いてて大変興奮しました。
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