「柘榴石入りの荒削りな御影石だねぇ…なかなか風情が出たものだ、イッポンダタラの突貫にしては」
ホルスターを外す、ずしりと重量の感じられる胸と腰のそれが、縁の岩に置かれる。
「こんな、外で」
「人どころか、悪魔すら寄り付かぬ、それこそ温泉しか無い場だ」
「そんな問題かよ、ろ、露出狂…っ」
まじまじと見たくない俺は、更に項垂れる。視界の端にライドウの白い脚がちらりと蠢いた。
「温度も丁度良いな、フフ」
水音。縁の岩を見れば、装備一式は其処に残したまま。
銭湯の際の学帽すら、岩上に被らせて。
(完全に、丸腰)
動悸がした。この男が…本当に一糸纏わぬ姿になる事が、異質だから。
犯す時も、浴びる時も、近くには武器が、管が在るのに。
学帽の裏の管の存在だって、知っている。
「何しているのだい、功刀君」
弾かれた様に、その声に面を上げた。
俺を捉えてすらいない、完全に背中を向けているデビルサマナー。
「モタモタしていれば、あがってしまうよ、僕」
誘っている、俺を。哂いの滲んだ声で、試している…
牙を剥くなら、今だぞ、と。
「その臭い血、早く流したらどうだい?それとも…」
ククッ、と、挑発してくる。朝の月が見下ろす麓で。
「僕の血で更に湯浴みしたいのかな?」
頬が熱くなる、血が、巡る。駆け出し、霧が裂けたその切れ間。
(ざけやがって――)
しかし、見えた景色に血の気が引いた。
怒りの間欠泉は出口を見失った。
寸前で失速した俺は、へたりこみ…縁に膝を着いた。
どうして止まった、どうして、一矢報いる事もせずに。
「……ざけ、んな…きっと酔う」
絞りだした声が、遠くの波音に消されそうだった。
「どうして、晒すんだよ…その背中」
惨たらしい。白い肌に縦横無尽に奔る蚯蚓達。
恥辱の証を、どうして直さないのだ、いつも思う。
その背中に、爪を立てる事は…牙を剥くのは…!
「この脈こそが僕の生きる路だからさ」
「その路に俺を立たせないでくれ、痛い…」
「君が駒になる事を認めたのだろう?今更嘆くのかい」
「違う!使役するってんなら、戦わせるだけで良いだろ!!」
水面を叩く、熱い飛沫が服を濡らした。
血の乾いた髪に掛かって、額に張り付いた。
「傍に引き寄せるな!俺が惨めになるんだ!あんたが…」
強過ぎて…
「俺の存在を、掻き消すんだ…誰も…誰もが…あんたしか見ない」
俺は弱い脈で、気付かれずに、埋もれ死ぬんだ。
ボルテクスから引きずり出されて、一気に弱くなったかもしれない。
あんたの傍に来てからだ、葛葉ライドウ。
「愚かしいね人修羅」
ぴしゃりと、俺の声を撥ね退ける、その声。
武器すら持たぬのに、どうしてそんなに強く立っていられるんだ。
「僕の、何を見ているだと?皆が…?」
「あんたを褒め称える、見目だとか!実力だとか!」
「へぇ?警察の犬と嗅ぎ回って、極道とも遊ぶ僕を?」
「警察もヤクザもあんたを認めてる…どっちの界隈も」
「フ、フフ…君は何処を見ているのだい…?」
泉の熱と対照的な、冷たいその眼が俺を射抜く。
首だけで俺を振り返るその哂い…
「警察はカラスなぞ信用しない…極道は真の闇には触れない……解らぬ?」
どうして哂って云うんだ。
だって……本当は知っている。
その背を、大國湯でしか晒さない事。警察の一部に、要注意人物として扱われている事。
「極道者ですら、流石にこの背を見れば手を引くからねぇ……確かに、刺青とは意味が違うのさ」
惹かれて、近付いては、その真髄に触れられない。
その闇が強すぎて、惨たらしい傷に、惧れを抱いて。
「ほら、擬態を解き給えよ…」
まだ浸かってもいないのに、俺はのぼせたのか。
その声のまま、汚れた上を、ずる、と脱いでいた。
そこで気付いた。そう、俺は、魔界から帰って…ずっと、人間の姿のままだった。
ライドウに撃たれた時にさえ、その擬態を解除せずに。
「余程の緊張状態にあったのかな?人脈に弄られて」
否定もしないで、下肢の着衣を脚から逃がす。薄い布も同時に引き摺り下ろした。
「いつでも殺せる様に、僕には見せてくれるのだろう?斑紋」
ちゃぷり、熱い、熱い本流に、魔脈が疼く。
振り返ったライドウに見られて、斑紋が啼いた。
「…丸腰で良いのかよ、あんた」
吐き捨てれば、唇の端が吊り上がる。
「僕の武器なら、眼の前に在る」
「あんたをいつか殺すのに?」
「その前に折れない“なまくら”でなければ、ね」
熱い、熱いそれは、身体をゆるゆると融かしそうだった。
「道具は…武器は、ここぞという時の為に、懐に納め置くのだよ」
撃たれた俺の脚から、赤いマガツヒが湯に織り柄を挿し始める。
血脈の様に、葉脈の様に、ライドウの脚に絡みついた。
あの、異国の織り柄の様だった。
「今回の様な与太事に、君を使う気はしないねぇ…刀身を見せれば、盗られてしまうかもしれぬのに」
「だからって、豪奢な刀の傍に居たくない、俺を惨めにさせて愉しいのか…あんた」
「いい加減しつこいね」
脚を引っ掛けられ、ざぱりと俺は湯に沈んだ。手を着き起きるより先に、髪を掴まれ引き起こされる。
「っは!ぁ、はぁ、て、め」
「僕が待てと云えば待ち給え、来いと云えば蹴れる範囲に来給え」
「滅茶苦茶、だ!」
「君が周りに何を云われようが、どう見られようが、僕の知った事では無いね」
その腹立たしい台詞に、やはり一発ぶちかまそうかと腕に力を込める。
が、そのまま耳許で、ライドウは俺の思考をぶち壊した。

「僕の手駒だろう…功刀矢代…僕が良いと云えば、良い、それだけの事」

腕から力が抜け落ちる。
その名前を呼ばれて、ぐらついた意識の足許は固定される。
雁字搦めの束縛で。
「存在意義を提唱したくば、契約破棄するでないよ…?」
胎が熱い、契約した瞬間から其処に結ばれた糸が、引かれているのだろうか。
でも、ライドウの指先には何も無い。
そんなものは見えてない、筈なのに。
「今の君はね、僕の支配下でしか呼吸出来ぬのだからさぁ…」
震える肩に、狂気が滲む。声を上げて、しかし静かに哂って海を見た。
俺の髪から梳き抜く指先は、額から瞼に滑り落ちる。
頬から首の脈の上を跨いで、鎖骨の翳りを掬う。
「何、してんだ」
「この魔脈とて、僕の吹き込むMAGで息衝いている」
暗い斑紋の脈を伝って、俺の…鼓動の上へ。
「人修羅」
心の臓の上で、その掌が鷲掴む。
呼ばれた固体名に嫌悪の慟哭。
すると、酷く残酷な笑みへと変わった。
「“矢代”」
跳ね上がる。悪魔の肉の中で、俺の核が。
単純に呼ばれ、振り返る。そんな記号では無くて。
「ク、クククッ…本当…君は」
「退かせ、っ!!」
掌を払い除ける、先刻よりも波打つ心を覚られたく無いから。
久々に呼ばれた名に、塞き止められていた鬱屈が飛散した。
「一々、確認するな、触るな…!」
突き飛ばして、肌寒くなった身体を湯に埋めた。
薄く映り込んだ月が、水面で更にぼやけて歪む。
この数日の憎しみを、嫌味の様に吐露してやる…
「ライドウ、あんたこそ…命令聞かせるなら、俺が聞こえる範囲に、居ろよ」
ぽつりと呟けば、肩まで覆う波間が揺れた。
傍に座り、片膝ついた男が海を見たまま云う。
「僕はライドウの十四代目だろう?」
「…十四代目葛葉ライドウって呼べば良いのかよ」
「功刀君、一番脳脈の海馬に響き入る言魂を知っている?」
「ッ…ぐ」
痛い…脚、が。
「契約の詞さ、ほら、知っているだろう?」
脚の傷口に抉り込んだライドウの指が、無遠慮に銃弾を引きずり出していく。
見向きもせずに、俺を穿って…自分以外の不純物を取り除きたいのか。
「……よ…」
ああ、頬が熱いのは、のぼせた所為だろう、きっと。
醒めたいから、だから呼ぶんだ。
「“夜”」
大國湯の湯より温度が低い筈なのに、まるで融けそうだ。
ようやくこの位置に還って来た俺は、痛みを伴いながらも目一杯呼吸した。
擬態も解除して、素の肌で、こんな外で。ありえない光景。
「…ま、それなら聞こえるかな」
くつくつと含み笑いして、抉り取った弾丸を泉の面に鋭く放ったライドウ。
器用に水切りの要領で、その弾丸は水面を幾度か跳ねて、消えた。
「この距離で十は跳ねた、流石は僕」
「ガキかよ…」
「子供騙しと思うでないよ、水面で跳躍することで射程が伸びる、英国海軍はこの原理を利用して」
「あーもう良い、あんたの薀蓄は、血生臭い…」
嫌がらせの様に、血みどろの知識を湯に歌い披露するこの男に
俺はやはり溜息しか出なかった。
いや…この溜息は、もしかして、安堵だろうか。
「カラスに渡してなるものか、利権こそ関与させては不味いのだよ」
絶壁からの日の出は訪れない、今日も曇りなのだろう。
辛く吐き捨てる、この男。百数えたって、煮え湯から出ないつもりだろうか。
「あんたさ…」
流れる血潮は、人間の証。その背に浮き出る傷跡は、業苦の証。
人間から受けた、責め苦の…
「何」
「…いや」
鳥の声、静かにこだまする波音と、それだけで。
異質な空間にしか存在出来ないのか、と感じた俺は
やはり無性に腹立たしくなった。

「つきのー…さばく、を」

音楽の授業は、皆の声に紛れて消えていた。
カラオケなんて、新田の独壇場だった。
俺の声なんて、響かない…なんて、自分でも解っている。

「はーるーばる、と?」

確認する様に躓きつつ発声すれば、嘲弄に水面が揺れた。
「おいおい功刀君、疑問系とはこれ如何に」
「ラジオでちらっと聴いただけだし、それとあんたの歌ってたのしか…」
「突然どうしたのだい?プリンパでもかかってた?音痴だねぇ…いや、それは術と無関係かな」
「っさいな!」
ばしゃりと湯を刎ねつけてやれば、ライドウの前髪に滴る。
余計に艶が増して、更に苛々させられる。
「あんたと二人きりで無音だと、どうでも良い事ばかり頭を過ぎるから、異界ばっかだし」
膝をかかえて、下肢を隠す。堂々と見せられるか、あんたじゃあるまい。
「だから、ラ、ラジオの代わり…」
ピクリ、と一瞬、ライドウの黒曜石の眼が虚空に留まった。
「…そんな消え入る声で?周波数は合っている?」
「普通の銭湯、行った事無い癖に」
叱咤が飛んでくるその前に、俺は云い逃れしておく。
「だから、ラジオでも流れてれば大衆浴場…だろ」
俺だってこの斑紋のまま、普通の銭湯に行けない。
主従揃って、普通の処には行けないんだ。
「…で、君の歌かい」
「悪かったな、電波状況悪いんだよ」
「あちらの方角にラヂヲ塔が見えるのだがねぇ?」
「本当性悪だなあんた」
「フフ……良い性格だろう?犬の躾も花道の散歩も慣れたもの…さ!」
「ぁがッ!?」
急に水面から突き出た足先、こめかみを蹴り飛ばされて、俺はまた潜水する羽目になった。
呼吸確保の為に膝を立て、熱い織り柄から逃げ抜ける。
俺の血が織り混ぜられた、その泉から、頭を突き出した。
「っは…!!っ、はぁっ……こ、っの野郎」

「 Y H V H …Y H V H … 」

その四文字にぎょっとして、濡れ髪も掃わずにライドウを見た。
天使も魔界の悪鬼共も、どちらが聞いても脚のすくむその名。

「こちらは天界より展開致しております、唯一絶対放送局よりの毒電波に御座います」

「おい!それ、っ…あんまり云うとルシファーの前でポロって出るぞ」
俺がいつかは対面させられるであろうその名を、聞いて気分が良い訳無い。
ヤハウェと読まずに、アルファベット一文字区切りで呼び上げたライドウ。
そんな放送局あってたまるか。いや、この世界は確かに毒されているが。
「四文字が他に見当たらなかったのでねえ、それに温泉にポロリはつき物だろう?」
一体何処からの知識なんだ。
血も既に落ちた髪を後ろに撫でつけて、ライドウの横顔を見た。
長い睫の先まで黒く艶めいて、確かに面は綺麗なのに。
「鉱石ラジオでも置こうかねぇ、功刀君?」
美しい流れに脚を踏み入れれば、その底にこぞむ深い泥に攫われる。
畏怖して皆、綺麗な水面だけで遊ぶ。
ああ、でも、その水源は、泥の奥から湧き出ている…
「ああ、でも君の周波数のぶれた放送があれば良いかな?」
「しつこいのはあんただろ、もう誰が歌うか…チッ…」
誰も本当のあんたを見てないんだ。
強く生きる葛葉ライドウ…上辺の強い、激しい脈に覆われて見えないんだ。
「そうかい、海に山にラヂヲ塔、花鳥風月豊かな壁画も在る、立派な湯なのにねぇ」
「こんな、コウリュウでしか来れないだろ」
「道具の手入れは大事だからねぇ…血、しっかり落とし給えよ?」
「誰の所為だと……それに…さっきの歌、続き知らないからな…俺は」
その、静かな、横顔を。誰も。
「……此処の開湯伝説は、スクナヒコナより黒駱駝が良いだろうね」
「スクナヒコナ…?」
「ほらまた知らない、どうせ半殺しにした悪魔の顔すら覚えてないのだろう?クク」
「悪いかよ、悪魔の顔なんて覚えても、あんたと違って生かせないしな」
「フフ…ま、誰にも教える予定は無いがね、此処」
クス、と哂ったその瞼が下りた。
「続き、僕が放送してあげようか」
「あんたの守備範囲が意味不明だ」
「幼い頃読んだ《少女倶楽部》に載っていた」
「はぁ?しょ、うじょ?あんたそんな物まで…」
それがデビルサマナーに不可欠とは思えない。
「リンに取り寄せてもらってね……銭湯も、本で知識としては得ていたさ」
本で“普通”を学ぶのか、あんたは。
親から童謡を教わったこの身に刺さる、刀より鋭く。

「……広い〜沙漠を…ひぃとすじに…二人…はどこへ…行くの〜でしょう」

その声は、高らかに俺を呼ぶテノール。
伸びる声は、何にも邪魔をされない。
帝都の喧騒にも、魔界の有象無象にも…カラスにも。

「朧…にけぶるぅ…月の夜を…対の〜駱駝は…とぼとぼと」
  
ちらりと見上げれば、頭上の月はゆっくりと消えてきた。
また、血生臭い今日がやってきたのだ。
悪魔を殺し、使役し、MAGと称した暴虐を打ち付けあう日々が。

「砂丘〜を越えてぇ…行き…ました」

渇いたボルテクスを越えて。

「黙ぁって越えて…行きまし…た…」

俺達は、確かに、受信し合える距離になり
互いのノイズを把握出来る様に、なっていた。
その不協和音は、不安に揺れるタイトロープだったが…
自分の為だけに用意された、たったひとつの脈だった。

「あったかい、な………………ぁ、ゆ、湯が!」
「湯が、ねぇ」

なまあたたかい潤いに、浸かっていたいかもしれない。
奥底のマグマに焼き尽くされる、その日まで。


脈・了


↓↓↓あとがき↓↓↓
今回のテーマは極道・警察・温泉・脈…です。
本質的には「己の立ち位置」だとか「釣り合っているのか」という不安提唱。
だらだらと長くなるばかりで纏まりがありません。
後半の会話なんかは、フラフラにのぼせてますね、執筆者が…
人修羅はライドウを憎みつつ羨望を抱いている、傍に居るのが惨めになる。ライドウは人修羅を使役しつつ引き寄せる、胸が傷付いても気付かず懐に入れる。

【作中のあれこれを適当に解説】

《J O A K》
東京放送局のコールサイン“JOAK”の“J”は、明治41年、逓信大臣名の公達で、海岸局の局名符号の第一文字として定められたもの。
後半、ライドウは勝手にヤハウェの四文字にして遊んでる。

《鉱石ラジオ》
響きが素敵ですね。
方鉛鉱や黄鉄鉱などの鉱石の整流作用を利用したAMラジオ受信機。

《指切り》
遊女が小指の第一関節から切り、その指を客に与えるというもの。「指切り、拳万…」の約束歌もここからきている。
佐竹の兄貴は“遊女と指切り出来ない程の小物”“指切りに必要な長さも無い程の短小”と、かけてます。

《マヤウェル・パテカトル》
マヤウェル:アステカの、竜舌蘭の女神。酒造と出産、幸運の守護神。パテカトルの夫。
パテカトル:アステカの、肥沃と治癒の神。竜舌蘭酒の王。
ケテル城酒場の主人二人という設定。しかし此処の捏造でパテトカルも女体。男装の麗人。
酒の肴になるのなら、下衆な事も見過ごす二人。

《血汚れ》
大根の絞り汁なんか良いそうですよ。

《背の丈は八七》
この時代の男性は、大抵五尺あったそうで、五尺を省いた数を云っていたそう。
五尺八七寸は、大体178cm。夜はその位。ヒールでもう少し高くなりますが…

《我田引水》
(自分の田に水を引く意) 物事を、自分の利益となるようにひきつけて言ったり、したりすること」

《ナガスネヒコ》
ライドウの仲魔の長髄彦。弟。若造。仕事は適当にがモットー。
擬態しても若い、へらへらしている。人修羅の事も適当に知っているらしい。ライドウのMAGを結晶化した煙草がお気に入り。

《アビヒコ》
同じく仲魔の安日彦。兄。性格老けてる。仕事は人間らしく(適度に汚く)がモットー。
擬態するとポマード臭い中年になる。人間の刑事を観察した結果らしい。ライドウに定期的に報告を入れる、糞真面目。

《土地権》
温泉権とは別物だそうですね。

《ウヴァル》
ソロモンの悪魔。序列四拾七番の公爵。黒いラクダの姿をしている。術者の命で人の姿を取り、余り完璧でないエジプト語を喋る。砂漠・水脈・愛について力を行使する。

《アーンミーヤ》
エジプトの口語、劇中の会話は下記の通り。

『ミサー ルヘイル』
 こんばんは“良い夜”という意。
「ミサー ンヌール」
 (上記に対する返事)こんばんは“光の夜”という意。
『イッディーニ マイヤ』
 水が欲しい
「ワッラーヒ?」
 本当に?
『イエムキン モムキン』
 多分出来る
「シュクラヌ」
 有難う

《御影石》
花崗岩。石材としては御影石と呼ぶ。石榴石を副成分鉱物として含む事もある。

《アトラス紋様》
ウズベキスタンの織物。七色の絹糸を使った日本の矢絣を大きくしたような紋様。派手である。

《水切り》
石を水面に投げ、跳ねさせる遊び。爆雷の一種「反跳爆弾」に、この原理が利用されている。

《開湯伝説》
温泉が発見された由来に関する言い伝え・伝説。あくまで言い伝えであり、史実とは異なる。開湯伝説が創られる理由として、口頭説明に信憑性をもたらすためだとしている。各地に大国主命と少彦名命の開湯伝説がある。

《月の沙漠》
藤まさをが、講談社発行の雑誌『少女倶楽部』(大正12年)3月号に発表した、詩と挿画からなる作品。これに曲を付けたことで、童謡としての「月の沙漠」が生まれた。海岸の風景がモチーフになっており、海岸の砂はみずみずしいことから、「砂漠」ではなく「沙漠」としている。


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