ライドウの不敵な発言に寒気がして、俺は首を捻り背後を見た。
先刻まで無かった樹木の影が、月光を遮っていた。
「気付いてなかったのかい?ジュボッコだよ」
「な……な、あんた気付いてた癖にこのままで居たのか?」
「だって君、挿入の度に煩いだろう。いちいち身を離すまでも無いかと思ってね」
ライドウの刀は、それほど尺が無い。だからこそ、この体勢でも抜けるのだ。
そんな恩恵のせいで敵を近付けたのかと思えば、恨めしい。
「恐らく、行為に夢中で反撃出来ないと思ったのだろうねえ」
「じゃねえだろあんた…っ!こ、こんなの見られ……おいっ……平気とか、おかしい!」
「何を狼狽えているんだい君、これはMAGの受給行為だろう?それに、野山で交尾するのは虫や獣だけでは無いよ、安心し給え」
刀を手にした腕が、ぐっと捻られる。
つられて、背後でざわざわと葉の擦れる音。
ライドウが抉っているのだろう、ジュボッコの軋みが悲鳴の様だ。
その、ガクリと項垂れた枝からボロンとひとつ、何かが零れ落ちた。
俺の顔のすぐ横に現れたソレに、思わず叫び仰け反った。
「ただの白骨だろう、君は肝試しに悲鳴する乙女かい」
「ぉ、お化け屋敷の贋物とはワケが違うだろっ!あんたが麻痺し過ぎなんだよ!」
「そんなもの、悪魔にとってはアクセサリーさ。髑髏の首飾りは流行り廃りも無く、定期的に流行しているだろう?」
「知るかよ!おい、此処には悪魔がうろついてるって事だろ、さっさと離れろよ…っ」
「場所を変える?」
「違う、さっさと抜いて服着ろって云ってるんだよ!」
もうMAGとか快楽とか、そんな場合じゃない。悪魔に覗かれているという事実が、俺を一気に萎えさせた。
ライドウが蹴ったのか、倒木の音がズズッと響いた。
伸ばされた足は薄手の足袋だが、接地面が非常に頑丈且つ柔軟そうで。
哂いながら芝の上に残した靴へと、その爪先を挿入していた。
「おい、ズボン穿いてから靴履けよ。靴履いたまま足通す気か?内側が汚れる」
「まだ抜く気は無いけど?」
「はっ?」
「シバブーよりはまだ動ける方だろう?この程度で君は戦えないと云うのかい?人修羅」
手前に持って来られた刀の柄頭で、ぐぐっと顎を押し上げられた俺。
引き攣る眼で睨み返せば、舌舐めずりするライドウの眼も三日月の様にしなる。
「君の喘ぎで聴き取れなかったかな?止まっておいてあげるから、少し耳を澄まして御覧」
「ん、だと……」
「ついでに、眼も凝らしたら?MAGは大気に現れた瞬間発光する事、知っているだろう?」
息を止め、周囲の闇を見据える。
蛍の季節でもないのに、チラつく光と……紐の様な、何かの影も炙り出される。
目の前の白檀以外に、ふわりと薫るのは薔薇。
憶えの有る香りに、何の影なのかようやく認識した。
周囲一帯に張り巡らされているのは、棘の蔦だ……
「あんた、アウラウネ召喚してるだろ!」
『はぁーい、大正解〜人、修、羅、ちゃん』
ライドウの外套に掴みかかった俺の傍、今度は白骨ではなくケバい悪魔が現れた。
見られた事が無かった訳ではないが、堪らずに掴んだ外套で下肢を隠す。
そんな俺を見て真っ赤な唇を吊り上げるアルラウネは、まるで主人そっくりだ。
『ライドウ、引っ掛かったの数体居たわよ?この辺りは結構野良が多いから、やっぱり青空受粉には向いてないわよ』
「だからお前を召喚しておいたのだろう?」
『もうちょ〜っとMAG流してくれたら、ついでに始末もしてあげちゃうのに』
「例えば、下のガシャドクロとか?」
『そうそう、特等席過ぎてズルいわよぉ。そもそも真下とか、ワタシの網に引っ掛からないじゃなーい』
イカレた連中の呑気な会話の中、引っ掛かる部分が俺の心臓を締め上げた。
“下”とか、云わなかったか?今…ライドウ。
しっとりした袴を摘んで、少し持ち上げてみる。
草木に埋もれた地面はゴツゴツとしていて、座っているだけで臀部が痛くなる。
その凹凸に埋もれて…よく見ると、岩の様な…それにしても白んで滑らかそうな、丸みを帯びたものが見え隠れしていた。
恐る恐る、それに触れてみると……ああ、直感で判った。
触れた直後から、ぐらぐらと地震の様に視界が揺れ始めので、恐らく違い無い。
「僕等がMAGのやり取りでぐったりした所を狙うつもりだったのかな?途中で横槍が入ると思ったのだが…見ている方がお好きだったのかね」
「やっぱり……知ってて真上で俺を押し倒したのかよ、あんた」
「君がいつ気付くかと思ってね」
「退けっ、此処から離れるぞ!」
俺がライドウを突き飛ばすよりも早く、地中から生えた白い牙が周囲を覆った。
地が割れ下からせり上がるそれが、牙では無く肋骨だという事は知っている。
まだ部分的にしか表面化していない白いそれ等は、まるで獣の牙の様だった。
『さっきから、ウマそうなニオいプンプンさせてぇえェ』
喰ってやる、とでも云わんばかりの悪魔の声に、最早戦闘回避は不可能と思い知る。
草の褥どころか、骸骨の褥だったとは……今度からは地中にも警戒しないと。
「僕はこのままでもヤれるよ」
離れるどころか、俺の腰を両脚でがっちりと抱き込む大馬鹿サマナー。
ばらばらと巨大な骨から振り落とされる枝葉や土埃を、外套でばすりとひと掃いしてニタリと哂っている。
地中から現れたガシャドクロの胸の上、俺達は肋骨の隙間から既に落ちてしまいそうだ。
「ははっ!功刀君っ、落ちれば恐らくスルッと抜けるよね?すれば君もイチモツ丸出しだ」
「なにがっ、だ…!くっそ…こんな場所でしなければ、こんな、こんなっ……ぐぅ、っ」
巨大肋骨の一本に、両手でしがみ付く俺。
ライドウは俺のを咥え込んだまま、俺と連結してぶら下がっている。
俺の下肢を脚で器用に挟み込んで、逆さ吊りなのに帽子は落ちていない、色々とおかしい。
「風も無いのになんとやら、だよ!クッ、あははっ」
振り子の様に揺れる度に、ライドウの剥き出しの凶器も頭を揺らす。
それを見て、ツボにでも入ったのだろうか。ライドウが高笑いしている、これも狂気だ。
「おいっ、アルラウネに援護させろ!それか他にも召喚、しろっ、ライドウッ!」
「さっきの会話の後、管に戻したのを見てなかったのかい?それに僕はMAGが足りてないから、君と繋がっているのだろうに」
ガシャドクロの指から逃げる為、俺は雲梯(うんてい)さながらの動きを強いられる。
横に伝ったかと思えば、突いて来る指先を寸前で躱して一段下の骨へ。
四肢が酷使されている状態で、どう反撃しろっていうんだ。
「君がさっさと吐けば良いのだよ」
「また水鉄砲とか云ったら殺すぞ!」
軽く云ってのける下方の男に怒鳴れば、きゅうっと締め付けられた。脚じゃなく、孔の方で。
「ガシャドクロの弱点、水ではなく君の十八番だろう?」
「な……そっち、かよ」
「ブレスを吐く程度は残っている筈だがね。そこまでまだ吸わせて貰っておらぬよ、僕」
「…は、ハメやがって!この糞サマナー!」
「フフッ、今回僕をハメてるのは君だよ、手が塞がっていようが口がお留守だろう?」
カチンときて、下肢を大きく振りかぶってみたがこいつは離れない。
ライドウは既に刀を納め、銃に持ち替えていた。
「ほら、息継ぎの猶予くらいは作ってあげるからさぁ…!」
逆さ吊りのままだというのに、放たれる弾丸は的確な狙いだ。
迫り来ていたガシャドクロの手は、五本の指を全て撃たれ軌道上に停滞している。
その隙に、俺は思い切り息を吸い込んだ。
肺の中で、空気とMAGと諸々が混ざり合って変質し、膨らんでいく感覚。
熱を帯びる手前でキリキリと一瞬冷え、喉を通る瞬間には灼けつく様な魔力を伴う。
叫ぶが如く口を開けば、自身の歯が融けるのでは無いかと不安になる程の焔が吐き出される。
煙草に火を点ける時とは、比較にならない程の熱量。これをする度、悪魔じみた己を呪いたくなる。
「っ、はあ…っ、はぁっ、はぁ」
ガシャドクロの指から腕へ轟々と、焔が迸る。
当然暴れ出すので、酷い揺さ振りをかけられる俺達。
ファイアブレスの余韻でリズムの乱れていた俺は、掛け直そうとした腕で空を切った。
(不味い)
重力には逆らえず、落下する。
せめてバラけていれば、各々で着地が可能だろうに。
「ライドウ!」
スラックス半脱ぎとはいえ下半身ほぼ丸出しで落下したら直撃とかして、不能にならないだろうかこの男。
自分でも驚く程に一瞬で想定したが、次の瞬間には杞憂に終わる。
両手を既に空けていたらしいライドウは、肋骨の一本に咄嗟に手を掛け俺ごと引き留める。
「ぅあっ!?」
反転する視界、今度は俺が宙吊りの状態だ。
しかも揺さ振られる反動を利用したのか、体軸を横にして俺を叩き込むライドウ。
骨と骨の隙間から、肋骨の内側に放り込まれた俺。
慌てて近くの骨にしがみ付くと、ライドウが傍で哂う。
「骨に抱かれる内腑の真似でもしようか、フフ……ガシャドクロの手も、指までしか入って来れぬだろうさ」
「はぁ…はぁ…い、いちいち乱暴だ、あんた」
「このままこいつが倒れてくれたら、僕等は肋骨の檻から脱出すれば良いだけ。外側に留まるか飛び降りるかしても、潰される可能性が有るからね」
「……いや違うだろ!さっさと俺とあんたが離れたら、もっと楽だったろ、こんな奴」
ずぉん、と山に響き渡る音で倒れたガシャドクロ。
周囲の木々を数本巻き込みながらだったが、巨大な頭蓋まで燃え移った火は殆ど消えかけている。
俺の焔で山火事だなんて御免だから、そういう顛末は確認しないと怖い。
「呻りすら上げぬとは……さてはこの悪魔、気絶している。脳天にもう一撃喰らわせればとどめかもしれぬが、どうするかい功刀君」
「俺に訊くなよ。さっさと離れるぞ、色んな意味で」
「骨の天蓋も悪くないね、さ、続きといこうか」
「……は?」
「其処の剣状突起から、ツノを逃して寝そべったら?痛いと気が散るのだろう?」
肋骨のパーツの名称だろうか……答えも訊けぬまま、唖然としている俺の肩を掴んで押し倒すライドウ。
腋の下に手を入れられ、ぐい、と押し上げられる。
確かに、骨の終わりが其処には有って、俺の項の突起がどこにも摩擦しない体勢になる。
下の突起は、酷い摩擦を喰らわされているが。
「全く、君は少しでも気が散ると萎えるのだからねえ。そんな事では女性相手でもヘマをするね、目に見えている」
「いつまでも突っ込んでるあんたが異常なんだよっ!この好色野郎、スキモノっ、ヘンタ…ぃ…ッ」
「めんどうらの…ンフフ……」
俺の胸を噛んだライドウの眼が、先刻よりも光って見える。
その眼を合わせたまま、唇に含んだ俺の芽を舌先で嬲って遊んでいる。
擽っていたかと思えば、前兆も無しに歯先でくっと捕えられる。
声を引き攣らせた俺は、再びライドウを罵ろうとしたが……じわりじわりと逃げていくMAGに、気を取られてしょうがない。
噛まれると、ライドウが締まる……いや、俺が膨らんでいるのか?もうよく判らない。
「はぁ……君こそ、また硬くなって、フフッ……此処は外で、しかもっ、悪魔の中に居るのにねぇ」
「っ、ぐ、ぁ、あんま、揺らすなっ……気絶してるだけ、なんだろコイツっ…起きたら、どうすんだっ…はぁ」
「なら君が、突き上げて御覧よっ、僕が腰を振るより、振動が逃げるよ?」
ぬちぬちと腰を搖動させていたライドウが、根本まで呑んでぐりりと回す様に押し付けてから、腰を少し引く。
そのまま降りて来ない、どうやら俺が動くのを待っている。
勝手に暴れて俺から搾り取ってくれたら、まだマシだったのに。
俺が腰を使うとか、そんな最悪な話あるか。これは俺に対する蹂躙だ、レイプだ。
「どうして俺がぁッ」
「ま、君が出さぬなら、それでも構わぬけどねぇ?君がコイツにブレスを浴びせたから、僕のMAGも少しは回復したし?」
が、嘲弄するかの様なそのライドウの台詞に、俺の何かがいきり立った。
散々弄ばれた挙句に要らないと云われた事実が、理性を灼き切りそうだ。
「……ここまでやっといて、俺のMAG、要らないとか云うのかあんた」
「そうだねえ…もう僕も、腰を使うの疲れてしまったかな。自分より君を好くする動きなんざ、面倒で堪らぬよ」
「じゃあもう動くんじゃねえよ!あんたに頼らないでもMAGくらい吐いてやる!」
ライドウの腰骨をベルトごと掴んで、上下に揺さ振った。
骨をざりざりと踏み締める様にして、腰を反らせる様にして突っ張らせる。
高低差の関係で、嫌でも見える結合部。肉がぶつかる度に、MAGの露光が爆ぜる。
「っ、うっ、んんっ、あ、はぁっ、ライドウッ」
「は、ははっ、下手糞っ…もう少し、緩急付けるとか、出来ないのかいっ」
「うるせぇッ、黙れっ、は、はあっ、はっ」
もうライドウの事なんかお構い無しの動きで、俺はひたすら自身を研摩する事に神経を注いだ。
ともすれば俺の自慰にも近いこの状態を、ライドウは穿たれながら哂って眺めている。
でも、いつもと少し違う。ライドウの表情に“違う艶”が混じっている。
こんな状況なのに敏感にそれを感じ取ってしまい、俺は背筋がぞわぞわした。
興奮なのか、違和感なのかは判らない。
ただ、頭の隅で、ライドウに欲望をぶつける衆の事を思い出してしまった事は確かだ。
そいつ等の上でも、こうして跨って同じ顔をしているのかとか、そんな馬鹿な想像を……
「今、余計な事、考えていたね君」
ライドウの声に打ち消されて、はっとした。
気付けば俺の腰はくったりと、背後の骨に寄り添って止まっていた。
「動きも止む、中で萎え始める……折れぬ様に、尿道に管でも通してやろうか?」
「…はぁ…はぁ……」
「さっさと終わらせたいと云っていたのは、何処の誰だっけね?」
「んうッ!」
ぴしゃりと臀部を掌で叩かれ、そのまま掌が腿へと滑り伝う。
俺の膝裏を後ろ手に支えたライドウが、背筋を使う動きで俺と密着を高める。
ぐぐっと折り曲げられる俺が呻くと、逆にライドウは哂いを深くする。
「もっと集中させてあげようか……君に覿面なやり方で、してあげるよ…仕方が無いからね…フフ……」
「はーっ…はーっ……」
「僕の声だけを聴け、君の契約者としてこの行為をしている、これは他の誰とも一致しない行為だ、返事をし給え僕の悪魔よ」
ライドウに呑まれたまま、顔を近付けてくるライドウの眼にも呑まれる。
声が近い……囁くような、命じる様な、俺を畏怖させ歓喜させる声音が。
「……ライ、ドウ」
「違う、契約行為と云ったろう」
ああ、そうだ。契約の時の…あの熱を思い出していた。
あの際、挿入していたのはこいつだったが、感覚としてはほぼ同じ。
「僕が肉を繋いで契約したのは君だけだ。相当愚図だけどね、君だけなのだよ…それすら頭から抜けているのか?人修羅」
「人修…羅」
「ほらまた萎えた、呼んで欲しいのなら君が先に呼び給えよ」
威圧的で高慢、それでも俺を見る眼が欲望を孕んでいる。
眼と匂いは誤魔化せない、互いに。人間だろうが悪魔だろうが。
「…夜」
呼べば吊り上がった唇、その隙間にぽっかりと闇が見えた気がした。
噛み付かれる様にして、悲鳴を呑まれ続ける俺。
暴力と淫猥を行き来しながら坩堝を上下され、本腰で扱かれた俺はあっという間に果てた。
ドクドクと、注いでいる。これが精かMAGか、吐き出しているだけでは区別も出来なかったが。
「ああ…美味しい…熱い……矢代」
俺は痙攣する下肢を知覚しながら、眼を瞑った。
ぼんやり霞がかった頭に、その熱を帯びた声だけが残響していた。
『おっかえりー!愛しのラ、イ、ド、ウ〜……と、不機嫌面のニンゲンモドキ』
元の場所に戻ると、ナルキッソスがいつものウザったいテンションで出迎えた。
相変わらずソレをあっさりと躱すライドウに、俺は何処かで胸を撫で下ろす。
同じノリで居られたら、俺が困るんだ。
『お散歩はどうだった?月夜の山ってロマンチックだよねえ……この山ちょっと死臭すっけどな』
「道中は特に異常も無かったよ、MAGも補充した」
『あ、そそ、例のブツも確認出来ましたぜ、ひっひ』
「御苦労様」
何が異常無し、だ。俺にとっては異常しか無かったぞ。
平然と会話する二者の向こう側を見やれば、開き切った月下美人達が白の面積を広げていた。
先刻から鼻腔を擽る甘く生臭い匂いは、多分コレのせいだ……
『どうした人修羅、悪魔と一悶着あったか?』
「悪魔……まあ、そうですね、悪魔ですね」
さくさくと草を踏み分けて来るゴウトに、俺は粗雑に返答した。
ライドウと組んでいて疲れるのは、この黒猫が一番知っているだろうに。
『派手にやりあったのか?』
「な、何がです!?」
『ほれ、袴……かなり緩んでいるぞ、紐』
指摘され、咄嗟に腰回りを手で撫ぞる。
確かに緩い、ぐったりした身体に鞭打って着付けたせいだ。
『この山、手強い野良悪魔が多いとは、あまり思っておらなんだが……我の思い違いか?』
「いえ、ちょっと色々あって、俺がつまづいただけです」
『そうか、確かにお主はそそっかしいからな。山歩きも慣れておらんだろう?』
良かった、妙な詮索はされていないらしい。
溜息しつつ見上げれば、月の位置も少し変動している。
このまま長居したら朝になるだろう。俺はさっさと銀楼閣に帰還して、この着物を洗濯してしまいたい。
土汚れとか、ファイアブレスの煤汚れとか……あと、体液だとかも、ほんの少し付着したから。
「さてウタイガイコツ諸君、早速伺いたい事があるので降りて来てくれないか」
何やら不穏な事を云い出したライドウは、続けて松の幹を軽く叩いた。
革靴の底に押された松。
大した振動では無い筈だが、ボトボトと降ってきたしゃれこうべ達に……俺は寒気がした。夏の昆虫採集かよ。
『ハイハ〜イ!呼バレテ飛ビ出テジャンジャジャ〜ン』
『散歩ハ楽シメタカ!サマナー!』
例の四体、ばらばらと口々に喋り出して煩いったらない。
カタカタと隙間の見られる歯を鳴らして、非常に耳障りだ。
「周辺も散策してね、奥方の云っていた通りの位置関係だ。栽培者は奥方も此処に連れて来て、月下美人の開花を見せた事がある様子だったね」
『ホウホウ』
『ソレカラドシタ』
「問おう、“この月下美人の栽培者と奥方は、此処に同時に出没していた事があるか?”」
ライドウが訊ねた、あの契約条件を実行しているのだろう。
ウタイガイコツは顔を見合わせて、言葉にならないカタカタ音で話し合っている。
それがピタリと止むと、一斉にライドウを向いて順番に述べた。
『ハゲトベッピンナラ、見タ!世ノ中不公平〜♪』
『コゲ茶ノカンカン帽ニ、ヨレタシャツト縦縞袴ノ男〜&藍染ノ紫陽花柄ノ着物ノ女〜♪』
『親知ラズノ二本無イ初老男性ト、靴擦レ痕ガ痛々シイ女性ナラ見タヨウナ?違ウヨウナ♪』
『夫婦見タゾ!デモ足ガ無カッタゾ!初夏ノ風物詩〜♪』
おいおい、てんでバラバラじゃないか。
こんな答え方されたら、どれが本当なのか一聴では判断がつかないぞ。
関係者の特徴を知っていれば、ある程度の推察は可能かもしれないが……酷く回りくどい。
「ライドウ、こんなの繰り返して探るつもりなのか?あんた」
「条件を厳しくしたり又はつまらない内容にすれば、契約を結びもしてくれないだろうね」
「じゃあさっきの中で、どれが当事者に合致する情報かいちいち確認するってのか!?」
「問おう、“拾い物であるローマ銀貨はどの種類だった?”」
「おいっ」
まだ続けるライドウに、思わず下方のゴウトに視線を投げた。
するとこの黒猫、タイミングを狙った訳では無いだろうが、呑気に欠伸なんかをしているではないか。
ライドウを止めさせるか、それか俺だけでも下山させてくれと申し出ようか迷ったが……
俺はひとまず、言葉を嚥下した。ゴウトは慣れているんだ、ライドウの交渉方法に。
『ヤッパ人気、カエサルダネ♪』
『地味ダケド、コンスタンティウス二世♪』
『アッチコッチデ入手可能!マリア・テレジア♪』
『猛々シイ!マルス神トローマ兵♪』
いや…やっぱり埒が明かないだろ、俺は溜息しつつライドウの傍まで歩み寄った。
一瞬俺を横目に見たが……ライドウは一呼吸置いた後に、声のトーンを落として唱えた。
「それでは単刀直入に、“犯人は誰だ”」
先刻までと違いあまりにバッサリな問い掛けだ、しかも死体も発見されていないのに犯人とは。
すると、四体のウタイガイコツは、ピタリとカタカタ音を止めた。
「ほら御覧、歌うのを止めてしまったろう?」
鼻で笑うライドウが、俺に向かって「見た事か」と吐きつける。
もう、俺が焦れて仕方が無い。殴って頭蓋にヒビでも入れたら、ビビって白状するんじゃないのか?
いや、こんな考えを浮かべてしまう俺こそ、悪魔かもしれない…駄目だ…交渉に口を出すのは止めよう。
「悪魔との約束なんか、本契約でも無い限りは半分に捉えておくのが肝心なのさ」
「……割に合わない」
「サマナーなんてそんなものさ。快感も有るが、それ以外は削り削られの応酬なのだからねえ……フフ」
「付き合わされる俺の身にもなってくれ」
「だから、悪魔が心弾ませる“愉しくて下らぬ”要素を突き付けるのさ。さすれば意気揚々と答える」
どうだか……悪魔が人間の事件調査に協力的とは、元々思っていなかったが。
それにしたって、この連中は性質が悪い。交渉開始早々、見切りをつけるべき対象だ。
まだ問い掛けを続けているライドウの傍、俺は頭がぼうっとしてきた。
知らない事、興味の無い事、それ等の応酬は本当に右から左で……
こういう事を仕事にしているライドウは、案外根は真面目なのかもしれない。
「ふむ、真実を述べる者は大凡予測がついたね」
「本当かよ……どいつの回答ものらりくらりとしてて…妙な情報ばかり多くて…奥さんに再確認しないと判らない事、多いだろ」
「では功刀君、決定打を此方から打とうか?」
「はぁ……なんだよ、ようやく的殺の構えでもする気になったか?」
「フフフ、そうだねえ…一撃必中な問いをするよ。誰が正直者かすぐ判る」
「へえ、そんな魔法みたいな質問があるなら、さっさと出せば良かったじゃないか」
やっと帰還出来る、と思って軽く伸びをした俺。
だが、袖の合間に見えたライドウの横顔が……とてもイイ笑顔をしていた。
何だかとても、好くない事が起こる気がする。
「問おう、”人修羅は、デビルサマナーとの行為の最中、何の技を放った?”」
おい。
『ソリャア!ヤッテンダカラ寝技♪』
『ヒネリモ無ク、肉体ノ解放♪』
『熱イアツ〜イ、ファイアブレス♪』
『アソコノタトゥー如何ナッテンノ?ファイナルヌード一択♪』
おいおいおいおい。止めろ、今すぐ止めろ。
揚々と歌い始めたしゃれこうべ達ではなく、ライドウの襟に掴みかかる俺。
ああ、俺は一体何処から責めるべきなんだ?
覗かれていた事を知っての行為だった事か。
それを此処で、悪魔交渉に利用するデリカシーの無さか。
「正直者が見えてきたねえ、功刀君」
「それ以上俺に関する質問はするな、おいライドウ、てめ――」
口出しするな、と云いたいか。的殺の構えは、寧ろ俺に向けられた。
胸元を、先刻散々歯先で嬲られた其処を。
今度は刃先が軽く潰し、俺の心拍数を上昇させる。
「ではこれで最後、“人修羅は行為の後、何をおねだりした?”」
どうしてライドウもウタイガイコツ共も、今は同じ哂いを浮かべているんだ。
欠伸をしていたゴウトは、先刻と違って耳をピンと立て。
毛先を指先で弄んでいたナルキッソスは、耳に髪を掛けて待機姿勢。
『今度ハ俺ヲ上ニサセロ、ライドウ!』
『吸イ過ギダロ、俺ニ突ッ込ンデ返セ!』
『垂レテル血、勿体ナイカラ舐メサセロ!』
『モット名前呼ンデクレ、モットモット!』
ファイアブレスを吐こうとした時の様な、すうっと一瞬冷える感覚。
直後、眦と耳に轟々と熱が溜まるのを感じて、刃が食い込むのも厭わずに叫んだ。
「黙れお前等ッ!」
詰め寄ってきたナルキッソスは、頭の花を爛々と揺らして興奮気味だ。
ライドウの外套を引っ掴み、ニマニマと意地の悪い笑みで首を傾げている。
『ねえ、ねえねえどれなのさライドウ!この朴念仁が云った台詞!』
「フフ…人修羅当人に訊き給えよ」
『絶対白状しないじゃんコイツ、ねえねえ〜イイじゃんかよお』
「僕は誰が正直者か判ったから御同行を願うだけさ、重要参考人としてね」
『ぶえ〜ケチ〜、美人ちゃん達が見れなかったらイイコト無しなトコだったよ、ったく』
ナルキッソスを軽くあしらったライドウは、俺に突き付けていた刀をようやく下ろす。
一発どころか、数発ぶん殴ってやりたい心境だったが…
ウタイガイコツに対して姿勢を屈めたライドウに攻撃する事は、なんとなく居心地が悪かった。
俺の恥という犠牲は有ったものの、殺人事件の解決を挫く羽目になるかもしれないのだ。
主人の帰りを待つ独りの女性の心を、救う事になるかもしれないのだ…から、我慢しなくては……
「フフ……親知らずの二本無いしゃれこうべ……貴方の持ち物ですか?ローマの銀貨は」
先刻から常に三番目に答えていたウタイガイコツが、ライドウに視線を合わせられカタカタ震えていた。
よくよく見れば、奥歯の隙間に銀貨を挟んでいる。
『コレハ……コレハ、私ノ物デハ無イ、ガ……傍ニ在ッタ』
「見ずとも判りますよ、それはマリア・テレジアの銀貨だ。安産祈願の御守りとして所有する者が多い」
『何故?安産祈願?私ハ男性……子供ハ居ナイ……居ナカッタ?私ハ、誰ダ…?』
「貴方が産めなくとも、配偶者は産める身体だった。しかし貴方は奥方より、此方の美人に夢中だった……違いますかね?」
ライドウとウタイガイコツの視線の先、満開の美人達が月下に輝いていた。
『あーあっ、ぼくも月下美人の開花音だけじゃなくて、そちらさんの衣擦れの音を聴きたかったなあ?』
まだ云ってやがる、着流しに謎の壜を持ったナルシスト。
擬態すると西洋人の様ないでたちで、俺より当然の様に背が高いのも腹立たしい。
「変身で着衣まで生成出来ぬなら、次からは褌でも締めて衣擦れの音を愉しんだら良い」
『おっ、穿いてないってバレてた?おっほほ、流石はライドウの観察眼』
しかもノーパンかよ、植物っぽいから下にそれこそ雄しべが有りそうで…想像したらゲンナリした。
聞いたゴウトがナチュラルにナルキッソスから離れたのは、気のせいでは無い筈。
『しかし女ってのはやっぱ怖いね、花を愛でる主人を殺すなんて気がしれないぜ』
壜をぶらぶらさせながら、あははと快活に云い放ったナルキッソス。
俺は一瞬何の話か解らずに居たが、はっとなって隣に駆けた。
「殺したのは奥さんなのか!?」
『はぁ〜?何を今更云ってるんだよボウヤ。あのウタイガイコツこそが、白骨化して悪魔になっちまった栽培者だっての』
「それは察しがついたけど……どうして殺したのが奥さんなんだ?行方不明の旦那さんの捜索依頼したんだろ……」
『何アンタ、帰らぬ旦那の身を案じて待つ貞淑な妻とか、それとも未亡人が好きだった?残念だったな〜寧ろ鬼女でした』
「どうして俺の嗜好の話になるんだ!」
『おっと、ぼくの店はこっちの路だからな、この辺でおさらばよ』
足を止めたナルキッソスが、ライドウに壜を渡して頬を寄せている。
受け取ったライドウは寄せられた頬では無く、水仙の花冠に軽く口付けをした。
『ちぇ、マジでケチだな…しかも今、ちゃっかりMAG吸ったっしょ』
「おや、バレたかい。思っていたよりも繊細なんだね」
『まぁいい、今のライドウの興味は酒浸しの美人さんだろうしぃ?』
「否定はせぬよ。それでは、また宜しく」
『おうともさ。ゴウトさんも生意気ボウヤも、またまたご贔屓に〜』
袖から抜いた手を身頃の内に落して、廃墟に消えたナルキッソス。
この柵の向こう側に花畑が広がっているとは、カタギの人間は露知らずだろう。
先刻の桜田山にだって、あんな場所が在るとは……知らなかった。
銀楼閣に到着するなり、事務所のデスクにどかりと壜を置いたライドウ。
天井のランプを点ければ、その壜の中にゆらゆらと揺らめく白い花が居る事が判った。
「これ…月下美人か?」
「ホワイトリカーに漬けて保存すれば、そのままの姿を維持出来るのさ。だから開花したらバッサリ…介錯する愛好家も居るね」
また悪趣味な例えをして、もう慣れたけど。
「でも勝手に採って良かったのか?」
「それは証拠品だから」
「……証拠?何の……これだけで何が判るってんだよ」
汚れた着物と袴を、事務所に鳴海が居ない事を確認してからささっと脱いだ。
シャツと黒い下穿きだけになった俺は、ライドウの外套を軽く引く。
一瞥くれたライドウが、襟下の釦を外して俺にそのまま預けてくる。
蝙蝠の羽をもいだ様な、妙な気分になる。あんな話を聴いたせいだ……
洗濯籠に突っ込んでから、俺は事務所に舞い戻った。
案の定、ライドウが月下美人と睨み合っていた。
ゴウトはソファの上に丸まって、尻尾をゆったり揺らしている。
言葉少なだ、恐らく皆して少し疲れている。
「捜索依頼をして来たのはね、園芸仲間達だったのだよ」
「はあ…あんた、俺にした最初の説明、紛らわしいぞ」
「奥方が犯人と云い切ったら、君が協力的にならぬと思ってね。それに最初から犯人を挙げては、悪魔達も関心を薄める」
もう何も云い返せない。ナルキッソスに笑われた事を思い出して、少し自己嫌悪した。
主人がずっと居ない妻というのは、寂しいものだと勝手に思い込んでいた。
母親のイメージと被って、恐らく正当化されていた、俺の中で。
「ウタイガイコツの中に、殺された当人が居たろう?己が悪魔と化した事も認知出来ず…そういう存在は、他者からの指摘でようやく正体を思い出すのさ」
「どうして奥さんが殺したんだ」
「月下美人に嫉妬していたのさ。だから開花の晩に連れて来られた先で、殺した。血腥い凶器だけは、深川の水路で発見されているのでね。帰路に捨てたのだろうよ」
「嫉妬って……殺す程なのか?」
「あの奥方、安産祈願の御守りを常に持ち歩いていたそうでね…これは売人達からの証言。現場で落したのだろうね、初歩的なミス」
「安産も何も…子供、居ないんだろ」
「旦那が関心が有るのは植物の受粉だけだったという事さ、だから奥方はずうっと待ちぼうけ…これ見よがしに御守りだけ持ち歩き…フフッ」
花を独り占めしたい、ではなく…花に独り占めされていた、って話だったのか。
壜を眺めれば、月下美人は開いていない。
最初は硝子の屈折かと思ったが、間違いなくこれは閉じている。
「ナルキッソスにも聞き込み調査をさせたよ」
「あいつ本当に植物と話せるのか?」
「フフ…さあ?でも、花の中身は気配と香りで感じ取れる、僕等よりは信頼性が高いね」
「これ、どうして閉じてるんだ…他は全部、開花してた」
「去年、よからぬ物を内包したまま閉じ、萎れる事も出来ずに一年過ごしてきたそうだよ」
透明なアルコールの中、硝子壜にホルマリン漬けの標本の様だ。
漂う姿を見て「このままにしておくべきだ」という感情と……正反対の感情とが、せめぎ合う。
「さて、抉じ開けてみようか、功刀君」
「……やっぱりそのつもりだったのか」
「乱暴?でもねえ……それは大事な証拠となり得るのさ」
壜の蓋を開いて、ライドウが刀を傾けた。
まさか、それでぐいぐい開かせるのか?なんとなく痛々しくて、俺は眉を顰めた。
「おい、指でやれよ」
「君、よからぬものを内包しているって、先刻云ったろう?」
「毒?」
「毒では無いがね……そんなに厭うなら、君が指で抉っておやりよ」
スッと刀を引いたライドウが、俺に壜を押して寄越す。
波の様にたゆたう水面に、俺は指を入れようと伸ばす。
「ただの蒸留酒だから、突っ込んだ指が融ける事は無いよ」
一瞬惑った俺の心を読んだのか、ライドウが一笑に付した。
それを聴いて、一呼吸してから……そっと指を泳がせる。
手毬の様な蕾を爪先で擽る様に、やがてぐいぐいと忍ばせる。
海月みたいな白い花、指先にか細い花弁が絡む。
「もっと優しく解してやったら?出血するよ」
「……あんた、人が真剣にやってる横から、下品な冗談止めろ」
「冗談?さてどうかな……クク」
傍で肩を揺らして哂うライドウに、一喝しようとした瞬間。
指に絡んでいた白が、色を変えた。
開花した其処から、いつぞや見たマガツヒが如き赤色が、ぶわりと液体に撹拌していく。
「な、んだよコレっ!?」
得体の知れぬ恐怖に、即行で壜から手を引き抜いた。
傍ではライドウが腹を抱えて哂っていて、ソファの上ではゴウトがフーッと深い溜息を吐いた。
「飛び散った血さ、殴り殺した時の」
「血……誰、の」
「そりゃあ君、被害者のさ。春夏秋冬、雨風に晒されれば死体は白骨化して魍魎にも為るが、血を浴びた美人は恥じらい、この念願の晩にも閉じている羽目になった訳だ…可哀想にねえ、フフ」
「おかしい、だろ……そんな事、有り得るのか?」
「この程度、おかしいも糞もあるかい。そんな事を云えば、君の存在だっておかしいだろう?“人修羅”」
とうとう真っ赤に染まった壜。俺はどうする事も出来ずに後ずさり、炊事場の真水で手を流した。
しつこく、丹念に爪の裏側まで。他人の血、過去の血、殺人の血……思うだけで、気持ちが悪い。
すっかり冷たくなった手を、手拭いに包みながら再び事務所に戻れば…ライドウが壜に蓋をしていた。
「これと銀貨は、風間刑事に渡すよ」
「銀貨はともかく、その血まみれの渡したって……この時代、血液鑑定とかやってないだろ」
「僕はね、警察の押収品の棚を、気味の悪い物で埋め尽くしてやるのが好きなのさ」
「悪趣味」
「今は解明されずとも、数十年後に明らかになったら面白いだろう?それまであのウタイガイコツ入りの管も、共に保管させるべきかな?」
本当に、面倒臭い野郎。でも、なんだろうか…今日一日、ずっと愉しそうだった。
機嫌が悪いよりは、マシか。
「その“蕾”から垂れた血は、舐めないのかい?功刀君……ククッ」
前言撤回、機嫌を損ねても良いから一発殴らせろ。
夜の女王・了
↓↓↓あとがき↓↓↓
いつもと挿入者が逆でした。殆どエロシーンみたいになった割には、あまりエロくないですね。多分戦闘を挟んだせい…だと思いたいです。後ろも前もライドウで喪失とは……
人修羅がツッコミ多いですが、突っ込みもしてるし今回はいいですよね。「夜の女王」は月下美人の別名ですが…矢代が夜にとっての女王なのか否か…この辺は皆様のイメージにお任せします。
ナルキッソスも登場回数が増えてきましたね、こいつは書き易いので楽しいです。
ウタイガイコツの伝承は、なかなか面白いです。参考リンク。
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/C0220092-000.shtml