ソファに身体を投げ出して、暗闇の中で明滅するテレビを眺めていた夏の夜。
飼っていた犬と死に別れたストーリーの映画が、だらだらと流れていた。
犬の心の声が、副音声の様に劇中入っていたが……俺は子供心に、無常を感じていた。
本当に、そう思っていたのだろうか?所詮、人間と会話が出来ない生き物だ。
一方的に人間が情愛を注ぐだけで、本当は…死の直前まで、疎まれている可能性が無いのだろうか?
でも、言葉が交わせたら…それこそ、良くないかもしれない。
最期の瞬間まで、意思の疎通なんて無い方が、都合好く解釈出来て。
飼い主と犬は、表面上ずっと主従で居られるのかもしれない。
「ねえやーくん、犬が欲しいって云ってたよね」
その年のクリスマス前に、ようやく仕事が落ち着いた母親に訊かれた。
「今度サンタさんに、ワンちゃんお願いしてみよっか?」
夏に観た、死んだ犬に涙している飼い主の映像が、網膜に焼き付いていた。
厭に渇いた喉は、ソーダ水でも潤わなかった。
「……いらない」
「え、いいの?別にお母さんは飼っても平気よ。やーくんがちゃんとお世話してくれるなら…」
「ううん、いい……」
あの副音声、お別れの際の犬の心の声。全部、まがい物だったら怖い。
死に別れという事象はノンフィクションだが、あの副音声はフィクションだ。
そして、本当の心の声が聴こえても…会話が出来ても…怖い。
息を引き取る瞬間に「お前なんて嫌いだった」と、犬の口が吐き捨てる妄想に、あれから当分取り憑かれ。
「いいの?」
「うん…それよりね、やーくんね、あたらしいプラレールほしい」
「そっか、じゃあサンタさんにお手紙書こうねえ」
「うん」
リビングのテーブルに広げられた便箋…母親の指が俺の手に添えられて。
出来るだけ漢字を使おうね、と促され。まだ習っていないのに、漢字を一緒に撫ぞらされて。
知っている文字は力強いが、知らない文字はふるふると…殆ど母親の筆力で綴られていた。
また、いつかの七夕の時みたく「父親が欲しい」とか、一瞬思ったがすぐに引っ込めた。
「じゃあこれ、ちゃんとサンタさんに渡しておくからね」
思えばあれは、自作自演だ。
書かせた手紙を、母親はきっと後で読み返して微笑んでいたのだろう。
多分、家の押入れの何処かに仕舞ってある筈……
居ない人物への手紙を、どうして親は書かせるのだろうか。
手紙の書き方を教える為?文章による感情表現の教育か?
どちらかの存在が無いのに、書かれる手紙は無意味なんじゃないのか?
意味が有るとしたら…遺書くらいだ。

(遺書…?)

は、と覚醒する。びくりと首根っこを掴まれたかの様に、身体が跳ねた。
吐く息が少し白い。俺が今、横になっているのは自宅のソファでは無い。
寝てしまっていたのか…これは、業魔殿の簡易ベンチだ。
(今なら、人間の身体が欲しいって書く)
ぼんやり夢を思い返して、独り自嘲した。
馬鹿じゃないのか、サンタから与えられるのは玩具…物資だけだ。
生体改造なんて、親には不可能だろう。それこそ、こういう業魔殿みたいな悪魔じみた施設でも無ければ…
「おはよう功刀君」
まだ少し霞む視界を、鮮烈な黒が過ぎる。
ようやく合体作業を終えたのか…革靴を鳴らして歩み寄って来るライドウの手に、例の如く白い封筒が確認出来た。
それを目にして、俺は改めて確信する。
「…また遺書、貰ったのかよ」
「遺書?」
「その手紙、あんたが毎度貰ってる…」
「ああ、此れかい」
薄暗い空間に映える白を、俺に差し出してくる。
その程度なら外套の内ポケットに入るじゃないか、と思いながら黙って睨み上げると…
ライドウは薄笑いで返してきた。
「此れ、君宛だから」
「…は?」
「ドアマースから」
それはつまり…
もうあの悪魔は、存在していないという事か。
「居なくなって寂しいかい?」
「どうして俺が…あんたの仲魔に一喜一憂しなきゃいけない」
「燃す前に一応読めば?僕が文字を教えた甲斐が無くなるからね」
嬉々として受け取れる訳も無く、かといって突き返すのも気が引けて。
渋々受け取り、ライドウに見えない様に便箋を開いた。
「別に見たいとも思わぬよ」
その失笑に少し安堵して、文字の羅列に目を通す……
簡単な挨拶から始まり、引き続き綴られていくのは俺の事ばかり。
読んでいる此方が恥ずかしくなる程に、観察結果が書かれていて。
必死に習っただけあって、かなりそれっぽかった。
めくるめく色彩描写に、そういえば…「文章では色を入れる事が大事よ」と、母に教わった事を思い出す。
 「どんな玩具が欲しい?」「赤いミニカー」
 「ホイールの色は?」「銀色」
画や写真なら一目で伝わるが、文字では難しい。
俺の眼の色だって……自分では判らないが、擬態時と悪魔の姿では違うらしい。
「よくあんたも…こんなこっ恥ずかしい文字ばかり教えられたもんだな」
「ドアマースは言葉に不自由はしていなかったからねえ。語彙豊かならば、僕はただ人間の文字を教えるだけで充分だ。気楽なものさ」
ざっと読み終えれば、胸やけしそうな文章に少しクラリとしていた。
仕舞う袋も無いので、肌着と着物の隙間に忍ばせる。
処分するか否かは、後で決めようと思った。
「良かったねえ、ようやく恋文が貰えて」
ライドウのニヤついた祝福は、呪いの言葉の様だった。
これは、果たして恋文なのか?最早、何なのか形容し難い。
「黙れよ」
「フフ…それでは、僕は一足先に銀楼閣へ戻っている」
「は?あんただけ?」
「そろそろ仕上がると思うがね、ドクターヴィクトルに刀を四振りほど任せてある。それが完成したら、持って帰っておいて給え」
「どうして俺がっ」
「僕はね、合体させた仲魔と早く遊びたいのさ」
軽く管を叩くライドウ、その指先からふわりと纏わりつく様に蛍光色のMAGが舞った。
叩かれた二本から召喚されたのは、モー・ショボーと…見た事も無い悪魔。
鱗に半身を覆われた女性体で、その背には大きな羽が生えている。
「モー・ショボーは此処で人修羅と待機」
『えーっ、いいの?ヤシロ様と二人きりな・ん・て』
「新たに生成される刀は、そこそこの魔力を秘めているのでね。人修羅もお前も、互いを監視しろという事だ」
その会話に、思わず横槍を入れる。
「おい、俺はあんたの武器から吸うなんて行儀の悪い事しないからな、その鳥と違って」
『ちょっとヤシロ様あ!今ショボーの事、おギョーギ悪いって云ったでしょ!』
頬を膨らませるモー・ショボーは、そのまま空中でバック転してにんまりした。
『もっと云って☆』
呆れて閉口した俺は、凶鳥を無視してライドウの外套を軽く引っ張る。
「おい、その…」
「何」
軽く視線だけを寄越すライドウ。少し捲れた外套の裏地が、黒の中に映える。
紫紺の色だ。湿った夕暮れ空、降り出しそうな雲間に燃え立つ境界色。
「ドアマースって、一体何に成ったんだ」
「何って、このヴィーヴルさ」
顎で示された先、ライドウの隣で微笑む鱗の悪魔が俺を見た。
ライドウと並ぶくらい、俺より高いその目線で悠然と見下ろしてくる。
「前の犬姿の方がお好みかい」
「そんな事云ってない」
「フフ……黒い翼手に赤の皮膜…龍王の彼女もなかなか洒落ているだろう?」
「悪魔の恰好なんて、どうでもいい」
「ではショボーを辞めて、ミシャグジと組ませようか」
「絶、対、嫌、だ」
フン、と鼻で笑うと、早速そのヴィーヴルとやらを連れて階段を上がっていくライドウ。
なびく黒外套が、一瞬蝙蝠の羽に見えた。
それを睨み送りながら、俺は袴のヨレを直す。横になったせいか、少し崩れていた。
『なんかさ、前より悪女〜って感じになったよねえ』
モー・ショボーがすぐ傍まで来て、無邪気に笑いながら云う。
悪魔合体自体に嫌悪感を抱いていない事がよく解かる、そんな軽さだ。
「あのヴィーヴルって奴?」
『そーそー、ショボーはどっちかってゆーとドアマースの方が好きだったなあ』
「……そんなに会話とか、したのか?」
『したわよおっ、ヤシロ様についてのぉ〜…ムフ、ムフフ』
「いい、聴きたくない」
部屋を移ると、しつこくひっついて飛んで来る凶鳥。
ドアマースのしつこさは、思い返せば少し違った。
あの時、ライドウの部屋の窓から…視線が合った少女の眼と、似ていた。
少し遠くから、待って居る姿勢。直接語らず、手紙に認めるその奥ゆかしさ。
『ねえヤシロ様、ドアマースの事どうだったの?』
「どうも何も、悪魔は総じて嫌いだ」
『ドアマースはね〜ヤシロ様の背中追って、ツノ見てるのが好きだって〜』
知っている、先刻読んだ手紙にもそれらしい事が書いてあった。
ツノがどうとか……俺にとっては、忌むべき特徴でしかないシンボルなので、気分は優れない。
胸元に仕舞った重みを今更感じる。こうして形に残されるのは、処分の瞬間の自己嫌悪が激しいのだ。
『でもさ、ヴィーヴルになったから、ちょっとは識別出来る様になったのかな』
「何が」
『だってえ〜…ヤシロ様の魅力は、そのきんきらしたゴージャスなおめめ、でしょ?』
合体檻を見渡せる位置まで来て、モー・ショボーのその台詞に俺は立ち止まる。
酷い違和感を感じた。何にだ?今の単語が、引っ掛かる。
「識別って、どういう事だ」
『んー?ドアマースねえ、ヤシロ様の金色の眼が判らないの』
「…判らない?」
『だって犬の眼だもん』
俺の色覚が狂ったのではないか、と思う程、頭が真っ白になった。
先刻の手紙の殆どが、それでは辻褄が合わない。
『ねーねーいかれヤブ医者、そーでしょ?ドアマースってわんわんと同じ程度しか視えてないよねー』
刀の最終調整をしているヴィクトルの白衣を引っ張るモー・ショボー。
キリの良い所で振り返ったヴィクトルは、火花に曇ったゴーグルを上げて笑った。
「よくぞ訊いてくれた!そうなのだ、ドアマースは大半のイヌ科と同じ、三原色程度しか識別出来ん。そしてMAGの発光は恐らく白んで視えておる」
近付く事もせずに、俺は茫然とその講釈を耳に入れていた。
暫く眺めていれば、完成した四本の刀を一本ずつ渡されるモー・ショボーが呻き始めた。
『ぐぬぬぬ…ちょっと、ヤシロ様あ〜手伝ってえ!か弱いレディーがあっ、こうしてっ、重い荷物をっ』
「……それ、銀楼閣まで任せる」
今なら、まだその辺を歩いているだろうか。それとも異界に入ったろうか。
すぐ追えば間に合うだろうと、希望的観測で踵を返す。
『はあっ!?ちょっと待ってヤシロ様、これ小枝の何百倍なんですけどぉ!』
翼を戦慄かせる少女の顔がまたもや脹れるが、階段から見下ろしつつ怒鳴った。
「次会ったら、俺のMAGを吸わせてやる」
すると、脹れ面は餅の様に窄まって、一瞬でぱんと破顔する。
『うわっ軽!もう四本は追加でいけるねっ!』
はしゃぐ少女に「それならば他にも…」と、容赦無く刀を追加して持たせるヴィクトルが最後に見えた。


 金色の、満月色をした眼を、じっと見ているとのぼせそうで
 黒い斑紋を流れ伝う、太陽の陽を反射する水面の色はいつまで見ていても飽きる事無く
 
 黄昏時、貴方の黒髪の先が稲穂の様に、茜に艶めく
 その撥ねた癖のある形も愛おしくて
 
 戦いの際、焦がす焔の色の鮮烈さに背筋を痺れが駆け抜けるのです
 エメラルドのマグネタイトと、悪魔の残滓に朱く濡れた貴方のそのツノにくちづけて、拭って差し上げたい


おかしい。
色の乏しい世界で、あんなの書ける筈が無い。
それなら、あの文章は誰が?テンプレートをライドウが差し出した?
いや…人間男性を形容する文章じゃないだろ、あんなの…例文なんて無い。
一体どこまでが、ドアマースの…犬の気持ちだった?
知りもせず筆持つ指に、添えられる白い手が……脳内で、母親からライドウにすり替わる。
「ライドウ!」
居た、まだ大通りを歩いていた。
奴の連れ添うヴィーヴルには目もくれず、俺は人混みを掻き分けて黒い外套に辿り着く。
「四振はどうした?随分と丸腰ではないか功刀君」
擬態した俺の眼を、上から見下ろすデビルサマナー。
真っ直ぐに見据え返し、その黒襟を掴んで問う。
「あんた、俺に懐かせる為にわざと甚振りやがったのか!?」
「話が見えないね」
「俺の目の前で、わざと甚振ったんだろ!あの犬を!」
隣で首を傾げている龍王、その中に犬の副音声はきっと流れていない。
喧嘩か?と通行人に振り返られても、襟首を掴む指を緩める気はさらさら無かった。
「……良かったではないか、手紙、貰えて」
うっそりと哂うライドウの声が、大通りの喧騒の中…すとんと俺に落ちる。
「欲しかったんだろう?」
震える指が、離れる事も引き寄せる事も出来ずに…
俺の中で彷徨う、問い掛けがそのまま言葉にならずに消えていく。
あの手紙は…どこからどこまでが、ドアマースの言葉だった?
それとも、殆ど……
「さっきの手紙、添削しろよ、いつもみたく」
「嫌だね、僕宛でも無い」
「改めて読むのが怖いのか?あんた」
嗤ってやったつもりが、引き攣った呼吸になった。
怖いのは……俺だ。
あの夏に観た犬の気持ちを、本当は知りたくない。
「文章に成る程度は、教えたつもりだがね。君が添削すれば?」
また読むのが、怖い。
筆跡はどうだった?何とも云えない、いや、思い出したくない。
色鮮やかな世界の中で、俺が中心になったその文面。
文末の、最期を悔いる言葉が脳裏に突き刺さって抜けない棘の様に。

 “ずっと傍に居たかった”

最初に読んだ時、虚しく嗤った。
悪魔と人なんだから、それは無理な話だと。
その時、俺は自分を人間側に置いていた。当たり前の様に。
だが今、目の前に居る黒い影と…俺なら、どうなんだ。
このまま人間に戻れなければ……俺が悪魔で、このサマナーが人間なんだ。
「早く放して呉れ給え、僕は異界に行きたいのだよ。往来の障害物になっているよ功刀君?」
「…嫌だ」
「駄々をこねるで無いよ、欲しい物は手に入ったろう?」
「こんなの…ラブレターじゃ、ない」
俺の胸元からライドウのホルスター裏に、白い封筒を無理やり移す。
「遺書なんか、要らない」
呟いた俺の耳元に、形の良い唇が囁く。
「あの犬と、まだ一緒に居たかったのかい?」
サンタの話をする、母親の声にも聴こえた。
あんたの自作自演?馬鹿な…そんなの、可笑しい。
だって……あんな、歯の浮く様な形容、俺への感情。思い出すだけで、頬が熱くなる。
俺はどうかしてる、犬の気持ちと思えばこんなに困惑しなかったのに。
「…居たかった……かも、しれない」
そう返事するのが、精一杯だった。
「そうかい…フフ。君が悪魔に情を惹かれるなぞ、やはり何か降りそうだね」
実際一雨来そうな空を見上げて、俺はようやくライドウから離れた。
気付けば、雨の予感に人は掃けていて。大通りにはぽつりぽつりとしか影が無い。
「あんなの…犬みたいなものだった…から」
「そうかい、では犬でも与えようか?」
「要らない」
「それで結構、銀楼閣には猫も居ることだし?」
襟をただすライドウの声が、湿り気を帯びる。
「それにね…僕は契約で縛れぬ愛玩動物が嫌いだ」
口元だけでしか哂っていない、こういう時、奴の本心が滲む。
いつもの悪趣味な冗談に紛れてくる……色の違う台詞。
それでも俺は、やはり副音声にしている。こいつが何を云っても、本当の心では無いと信じ込む。
こういう男なのだ。自分勝手で、豪胆で、享楽的な…
「じゃあ、契約で縛れている俺は……あんたにとって何なんだ」
ぽつりと零せば、視界が一面曇り空になった。
蹴られたのだとようやく気付き、身体を起こせば奴はもう居ない。
この位置だと…恐らく、手身近な異界の穴に飛び込んだのだろう。
訊かなければ良かった、と、袴の砂埃を掃いつつ自嘲した。

 「やーくん、犬嫌いになっちゃったの?」
 「…だって、ニンゲンより早く死んじゃうもん」

四六時中傍に居ない母親にだって、あんなにも甘えて懐いた俺なのに。
その母が、事故でも無い限りは俺より早く逝くのだと…不安に泣いていたくらいだというのに。
犬なんて飼ったら、俺はどうなってしまうのだろう?と、幼心に恐怖を感じていた。
いつも傍に居る、そんな存在が……俺より遥かに短命だったら…?
じゃれ合って、機嫌を損ねて、ふざけて、憎たらしいけど寄り添って、酸いも甘いも常に一緒。
「ライドウ…」
ぽつりぽつり、今度はいよいよ降ってきた。
色を濃くする地面、俺の藍の着物が昏い色に染まっていく。
背の高い建造物の少ないこの時代、空の色が低い彩度へと変質していく様は、存外悪く無い。
仄暗い雲の隙間から僅か見える紫紺が、あの裏地の様で。
(あんたの世界には色が有って…良かった)
こんなモノクロの空なのに、湿った土の匂いが煙る空気なのに。
あの手紙の極彩色の羅列が、俺の存在を認めている気がして。
(なあ、どんな処に突っ立っていても、しっかり視えているんだろう?)
何故か溢れてきた涙は、とりあえずあの犬の為にしておこう。
あの夏見た映画でも、人間はそうしてたから。



故意文・了

↓↓↓あとがき↓↓↓
手紙をテーマに。
ドアマースの設定は激しく捏造なので、あまり気にしないで下さい。
結局、あの手紙の内容の…何処から何処までを、ドアマースが綴ったのか、ライドウが書かせたのか、それとも書いたのか…
特に明記しませんが、劇中説明の通り色彩豊かな表現は、ドアマースには難しいと思います。
気になる子には、いじわるしたいし、欲しいという物はプレゼントしたい。色んな初めてを奪ってやりたい。
我欲を通す為、平然と甚振るライドウは、もっともらしい言葉で濁して誤魔化す。隠れた子供。
「…居たかった……かも、しれない」という人修羅の台詞は、ドアマースに向かっていない。

タイトルの故意文は恋文(こいぶみ)とかけてます。

因みに、認識出来る色が平均数より乏しくても、暗所での微妙な光源を見分ける能力に秀でるそうですので、それが悪いという訳では無いのです。