云える訳ない…
あんたの所為でもあるんだ…
そんな暇があるなら…
あるなら…
どうして!
帳下りて畜生の宴
寒い筈の空間が、ゆるゆると生温くなってきた。微かに香るのは、少しだけ魔力の香に似ていた。
(あ〜…女性って怖いな、やっぱり…)
板の間に放置されながら、そんな事を今更に感じていた。人間のままでも、もしかしたら結婚なんて出来なかったかもしれない。ふと思い、自嘲した。
だって、そうだ…俺は家事も出来るし、生活だけなら困らない。今思えば、本当に母親の老後の為だけだったのか?描いていた理想は…
(このままどうなる?)
そもそも脱出して、俺は何処へ往く?ライドウの里に戻れたところで、奴の妻として虚構に与するだけだ。だったら、何処が在る?この姿でルシファーの城へ逃げ込むか?そもそも、シトリの居所が掴めていない…
説明すれば、ルシファーは兵を寄越してくれるだろうか?
(こっちの身体を気に入られたら、もう希望は無いな)
単独だ…それも危険な賭け過ぎて、ライドウとの共謀よりもする気になれない。
どんなに憎くても、あのデビルサマナーの聡明な頭脳は必要だった。
(頭脳だけ?)
いや、俺より強いあの化け物じみた力も。
(能力だけ?)
一瞬、戦いの場面以外の映像が脳裏を過ぎった。
入れ替わった時に視えたあいつの過去
俺の身体ではしゃぐあいつ
人間の身体を嘆き癇癪を起こすあいつ
正月、賽銭箱に投じた金に感じる意外な願掛け
しつこく視線を投げ続ければ、溜息と共に購入された二輪
俺の代わりに他校生徒と喧嘩するあいつ
夜の桜に……
「馬鹿だろ…」
対象も居ないのに呟いた。だからどうした…あの男は元来遊びが好きなのだから。
奴の余興に過ぎない、戦い以外の戯れなんざ。婚姻関係なんてのは…使役関係と同じだ…何も変わっちゃいない。
ぎぃ
格子の開かれる音がした。そちらに視線だけを送れば、低い位置に四つの光。揺れるそれに、殺気に近いものを感じる。
咄嗟に、括られた手首から先を床に這わせ、支点にして跳ね起きる。同時に跳躍し、先の着地地点…そこから見えたのは悪魔の姿。
「弱っていても、流石は半端悪魔」
格子の向こうから、女性の影が見える。揺れる灯篭の光で、廊下の方にゆらゆらとチラついて見える。跳躍で乱れた着物の合わせをぐい、と手繰り寄せた。
「なんです、その悪魔、始末して良いんですか?」
云いながら、向かい合う悪魔を確認する。暗がりに見え難かったが、俺も知る悪魔だった。
「…オルトロスなら、今の俺でだって楽に始末出来ますよ…?」
強い悪魔でなくて助かった…内心ホッとして俺は威嚇する。そう、決して戦えない訳では無い。力押しでいける相手なら尚更。
唸るオルトロスの向こう、主人と思われる女性の手元にMAGの光。
「あら、そう?」
「馬鹿にしないで下さい、これでも師団率いてますから」
こんな時ばかり悪魔の立場を誇示する俺は、酷く滑稽だ。しかし、今弱みを見せてどうする。鼓舞(こぶ)の言霊だ、こんな虚勢は。
「そんな悪魔の中の悪魔が、ライドウ様と番ってしまうのは問題ねぇ」
女性はくすくすと口元を装束の小袖で覆った。嫌らしく嗤う唇が見え隠れする。
「別に、あいつが勝手に結んだだけですから」
苛々する心に正直に、俺も嗤い返してやった。らしくもない、異性に対しての嫌味…いや、今の身体では同性なのだが。
「オルトロス…そのガキに喰らいついておやり!」
袖を振り翳した女性の口元は、激昂に歪んでいた。双頭の獣が吼え猛り、床板を傷つけながら駆けて来た。
飛び掛かってくる前脚の先端を、俺は爪先で上に弾いた。軌道が逸れた獣の口に、振り上げたその爪先を突っ込んだ。流石に、靴も無いので痛みが奔る。
鋭い牙に表皮と肉を削がれながらも、喉奥までぐりゅぐりゅ突っ込む。片脚で踏ん縛りつつ、突っ込んだ方の脚で、蹴りつける様にオルトロスを床に叩き付けた。
『ギャウウウッ』
頬を歪ませて床板にめり込む片頭。だがもう片方が俺を睨んだ。大きく吼えたかと思えば、その開いた口の牙から閃光が漏れた。
(ブレスか)
突っ込んでいた脚を即座に引き抜き、大口を開ける頭を括られた拳で殴る。眼元に近かった所為か、獣の爆ぜた眼球がこの指に付着した。
「きゃっ」
吹っ飛ばされていったオルトロスが、主人の傍の格子を揺らした。そのままずるりと、格子を朱塗りにして横たわる。俺は汚れた指を着物の裾で拭って、なるべく平静を装う。
「いくら寄越しても無駄です…止めて下さい」
本当は、キツイ。久々で、かなり鈍っている。おまけにこの身体…酷く重く感じる。
腕を振り抜けば胸元が邪魔で、突っ込んだ脚も、まだ再生が終わっていない。
(くそ、城の支配下にある悪魔なら…ひと睨みで済むってのに)
ますます人間枠から逸脱した考えに陥り、首を振った。
「ふん、本当に力で押し切ったわね」
忌々しげに吐いた女性サマナーが、胸元を探る。
一瞬気まずく感じて眼を逸らしたが、どうやら何か取り出した様子だった。
「ほら、まだ遊び足りないでしょうがっ」
叱咤の声音で、その女性はオルトロスに何かを食ませた。じわりじわりと、その女性からもMAGの流動を感じる。
『グ、グルル…』
よろめいて、その四足を動かす獣に俺は息を呑んだ。
「まだ戦わせるんですか?いくら悪魔だからって虐待ですよ…」
悪魔なんてどうでも良い筈の自分が吐く、偽善めいた台詞。
「再生が追いつかなければ、どうなのかと思ったまでですわよ?」
嗤ってオルトロスを再びけし掛けてくるサマナーに、嫌悪感を抱く。瀕死の俺を顎で使う、何処かの誰かを思い出していた…
でも、あいつは俺以外の仲魔にそういう事はしない。俺が驚異的な治癒力を持つから、それを生かしているのだ。それはサマナーとして、間違った事では…多分無い。
「最低な飼い主」
呟いて、薄く脂肪が見える片脚を下げる。じゅくじゅくと再生を促進させられたオルトロスが、今度はファイアブレスを放つ。
此方は横に跳んで、綻んだ脚を庇いながら低く体勢を保つ。靡いた着物の袖にブレスの火が燻って、豪奢な織り柄を焦がす
「くっ」
燃える袖を歯で咬んで、引き裂いた。高音で啼いた袖をその場に捨てて、神経を集中させる。格子の向こう、あのサマナーを攻撃する事を考える。女性相手などと、もう云ってられるか。そもそも今は俺も女性体だ。
ボタボタと体液を零しながら、オルトロスが方向転換して突っ込んでくる。両方相手にするのは危険だ…
――何の為に遠距離の術があるのか考えてみ給え―…
脳内で反芻される、葛葉ライドウの声。
――何処まで届くのか、どの様に屈折するのかを頭に叩き込め―…
――どれを優先すれば早く片付くかを常に考えるんだ―…
――だからねぇ功刀君…放つ際の死角を意識しろと―…
――本当に……何度云えば解るんだ、この愚図…!―…
最後は余分だったが、それを意識して魔力を紡ぐ。オルトロスを格子から離しても、きっと回復手段がある筈。
(魔弾を撃とう)
届く範囲からギリギリで、あの女性の手元を狙う。管もろとも、その手を粉砕するつもりで…
(大丈夫、死ぬ程度には、しない)
対象が人間、おまけに女性という後ろめたさを振り払う。
「うおぉおおおッ」
獣相手に獣じみた咆哮で、取っ組み合う。視界の端に映るサマナーが、中央にくるまでタイミングを計る。オルトロスが、俺の喉笛に喰らいついてくる。
「ぎっ、ぐぶうッ」
吐き零しそうな血潮を、食い縛って飲み下す。嗤うサマナーが、オルトロスの鬣の隙間から見えた。今しか無い。
両の眼に、身体中の魔力を直結させた…いける。
「!?」
いける筈だろ?何?どういう事だ……
食い縛っていた血と同時に、気持ち悪い吐き気が込み上げる。オルトロスに首ごと揺さ振られながら、方々に吐き散らす。
「っげええ!!ぅごッ」
疑問符しか浮かばない俺は、床に叩き付けられた。
「がはぁああっ」
はずみで、肋骨が軋む感触。恐らくズレた。
「……ひぅ…っ…ひゅぅっ……」
喉から漏れる空気が煩い。起き上がろうと脚に力を込めた。
「お待ち!咬むのはそれくらいにおし!」
女性サマナーの声に、眼の前で牙を剥いたオルトロスが止まった。
「どうしたの人修羅…?全然、大した事無いじゃないの…」
反論出来ない…本当、どうしてだ。魔弾の為に魔力を紡いだ瞬間、胎内から逆流する感覚。
(内部から作り変わったって事かよ)
「か、ふっ……く、そ…ッ」
こんな身体じゃ、あの男の調教すら生かせない。ボロ切れみたいになった袖で、顔を覆った。情けなくて、こんな姿…ライドウにも、城に居る堕天使にも見せられない。
見捨てられてしまいそうだ…
「ねえ、そろそろ終わった?」
「結構やられたわ、道具の消費有りましてよ」
「げっ、すっごい血…」
聴覚が拾う、複数の声。あのサマナー以外にも、集まってきたのだろうか。
(俺を嗤いにか?)
その野次馬根性に反吐が出る。
「人修羅!この後の用事が済めば、出してあげましてよ」
突如俺に叫ばれたその言葉に、俺は警戒する。
「まあまあ、そう強張らないで頂戴…力を抜く事をお奨めしますわ…」
そう述べる女性サマナーに、追従して黄色い声が響く。
「嫌だわ!下品よ下品っ、んふふっ」
「あのままさせたら死んでしまわないかしら?」
「大丈夫よ、弱っているとはいえ治癒はされる様ですし…」
続く言葉が鮮明に鼓膜を震わせた。
「裂けるのは下だけでしょう?」
袖を顔から退けて、その声の主に俺は叫ぶ。
「戻せッ!!」
喉から血が溢れて、咽た。
「戻、せっ…そのオルトロス…管にっ」
笑い声が空間にこだまする。
「香の薫りが判らなくて?その悪魔、今とっても盛ってるわよ?」
「催淫効力もだけれど、そんな死にかけだから種の保存本能に忠実じゃない?」
「悪魔にも種の保存とか、感覚あるのぉ?」
あの主人が命令を切り替えたのか、オルトロスの眼の色が違う。殺気というより、飢えている眼。全身を悪寒が駆け抜ける。
(嘘だろ?)
だって、この房には俺と…眼の前の獣型悪魔しか居ない。横に転がり、結ばれたままの両手を這わせて立ち上がろうとした。
「がぁああァっ!」
背中に圧し掛かるオルトロス、巨体に押し潰される先刻の肋骨。もそりもそりと身体を押し付けてくる、その背後の息が荒い。襲いくる予感に、恐怖が脳内を支配し始める。
(獣に?)
馬鹿な、馬鹿馬鹿しい、そんな話があるのか?動かせない下半身に、尖った何かが擦れた。その脈動にぞわりとして、悲鳴を上げた。
「あ、うああああああああ」
無意識に上がる声が自分の物だと、今気付いた。だが、それすら吹っ飛ぶ感触が、臀部から伝わる。
(え…)
股を擦る感触と…同時に何故、臀部の間を擦る感触がある?急に静かになった俺に、サマナーが一声掛けた。
「双頭ですわよ?予測しなかった?」
その声に、血の気が引いていく…
女性達の笑い声と、獣の唸りが鼓膜を鳴らしてしょうがない。
「や、めろ!やめろぉぉおおっ!!」
オルトロスの牙から垂れ落ちる唾液が髪を濡らす。もがく俺の血が、床板に染み込んでいく。つぷり、と股の間に熱いソレが押し付けられた。
身体を捩って、逃れようとした。無慈悲に、獣が前のめりに圧し掛かる。それでも俺は、まだ抵抗したものだから…四つん這いに近い体勢で…呑み込まされた。
「ぎゃぁ ぁ あぁぁ あ あ」
肉が裂けて、奥に当たる。胎を裏側から叩かれる様な。
「あっ、あぐぁああああ」
ずりゅずりゅと後退して、半分程抜かれた。
「は〜っ…は〜っ」
圧迫感に舌を垂らす、床に俺の唾液も滴った。まるで獣だろ、こんな…こんなの…
息をするのも苦しい、苦痛に瞼を下ろす。が、それをすぐに見開く羽目になった。
「ぁあ〜っうぅううううぁあっ、あっあ」
後ろに無遠慮に侵入してきた、もう片方のソレ。後ろと前を隔てる肉が、内部からごりゅごりゅと穿ってくる。脳内がもう爆発しそうな程の、感情。酷い…辱め。
(こんなケダモノに!こんなケダモノにぃいいいい)
羞恥と殺意で、我を見失いそうだった。腰を打ち付けられる度、雄叫びをあげるオルトロスと…俺。
俺は人間辞めて、男辞めて、悪魔辞めて、畜生に成り下がったのか?
痛みしか無い…その、突いてくる怒張に怒りと恐怖を感じる。
(痛い!痛いぃっ!!)
現実逃避だろうか、あの夜を思い出していた。あの夜の俺の悲鳴は嬌声で、股から漏らしたのは潮とやらで。今のコレは、あの夜と…全く別物だった。
「ほら、種でもお持ち帰りしたらどう?人修羅」
「っ…はぁっ…」
「まだ身篭っていないのでしょう?丁度良いじゃない…」
夢想が一瞬にして掻き消された。その女性の声は、酷く愉しそうで…俺は竦(すく)んだ。
意味する事が解ってしまい、発狂した。
「出したら八つ裂きにしてやる貴様等ァアアアア!!」
形振り構わず、魔力を暴走させる。身体の関節が悲鳴を上げて、ビチビチと避けた皮膚から血が噴いた。
「ぐぶっ、げはぁああっ、あぐ、お、おげぇえええッ!!」
背後に撃てる筈も無く、俺は泣きながら吐き戻した。背後の獣がぶるりと痙攣する。
奥に熱い、ひたすら熱いものを感じた。俺の心は急速に冷えた。
びゅくびゅくと、幾度か間隔を開けて叩き付ける…ねっとりした熱。がふっ、がふっ、と荒く嘶いて、オルトロスが引き抜いた。どぷりと股の間から溢れたのは、異様に白い液体。
「…ぁ」
放心する俺に、引き続き後孔から抜かれていく肉。腰を繋ぐ肉が無くなり、俺はそのまま床に突っ伏した。
「きゃははははは」
笑い声。甘ったるい香の薫りと、咽返る生臭い臭い。
(……俺…何してるんだ……)
何故此処に居たっけか?何故女になってんだ?何故悪魔なんだ?
何故ライドウと婚姻したのに、獣に中出しされているんだ?
「さあさ、種付けも終りましたから、後はお好きに」
「くす…嫌味ぃ〜」
「生まれたらお祝いに招待して頂戴よ?あっははは!!」
なあ、俺が、何をした?
「何処をほっつき歩いていた?」
「…」
「ほら、お答えよ、功刀君!」
頬を刀の柄で穿たれて…俺は血の混じった唾を奴に吐きかけた。
「俺の勝手だろ…」
苛立ちを不敵な笑みに変えたライドウは、頬を拭った。
「そうかい……雪の中、着物をボロにするまで遊び惚けていた?」
腕を組み、冷たい視線で俺を射る。
「折角依頼を早く片して…シトリの調査をしていたというのにねぇ」
「…」
「大人しく、待てすら出来なかったのかい?」
嘲り、どこか恩着せがましいライドウに、俺は吐き捨てた。
「あ、ははっ!そんな事してる程暇人だったのかよ、あんた」
もう、それしか云えなかった。それが、包み隠さない正直な俺の感想だった。
ライドウの笑みが凍る。俺の心も…凍らせた。
「へえ…男に戻らずとも良いのだね?なら大いに結構、ルシファーには君から説明し給えよ」
外套を翻して、踵を返すライドウ。冷めた声で云いながら、鞄から引っこ抜いた書類を手に向き直る。
「暇人の調査したレポォトでも見て、大人しくしてい給え」
眼が哂っていない。
「君からの依頼は破棄という事で宜しく頼むよ」
机に叩き付けた、その鋭い音が部屋に響いた。踵を返すライドウの、その背に問い掛けた。
「何処行くんだよ」
こっちを見もせずに、返答する。
「空きが出来た分、他の依頼を入れる」
淡々と述べて、部屋から消えた。
(なんだよ、こっち見て云わないなんてザラじゃないか、あの男)
肩を震わせ、くつくつと哂う時とか…俺を惑わせて遊んで、そんな奴を俺が睨む時とか…
(今回は、本当に、俺を見ていなかった)
ゆらゆらと、隣部屋に用意された布団に倒れこんだ。傍の布団には、当然誰も居ない。俺は初夜から…もうずっと独りで寝ている。
「…」
ころり、と、いつも空の布団に転がり移った。
「暇人」
天井に向かって罵る。
「どうして…そんな調査してたんだよ」
いつものあんたなら、そんな事してくれないのに。
「どうして…ッ」
視界がぼやけた。
「どうして早く帰ってこなかったんだよッ」
云える訳無いだろ、俺が何処で何されてたかなんて。それを解っていて、あの女性達も俺を解放したんだ。
云える訳無い…何に犯されたかなんて…この胎に妙な熱を感じるなんて…
それをもし、云った時のあんたが、怖い。怖いんだ。
云えばきっと哂って捨てられる、俺という中途半端な化け物は。
こんな情けない悪魔、あいつの管には居ないから。
ああ、俺はまた独りになるんだ。
独りでは堕天使へ剥く牙も持てないってのに…まさか、こんな所で終わるなんて…
「…ぁはは…俺……暇人…だな…」
呟いて顔を埋める。
嗚咽は褥(しとね)に飲み込まれて消えていった。
帳下りて畜生の宴・了
↓↓↓あとがき↓↓↓
オルトロス愛好家の皆様、大変申し訳御座いません。
獣姦です。
おまけに二又のアレという最悪な設定に(真の下衆は自分です)
久々に会ったライドウとはすれ違いという…
ま、この後まだ悲劇的な展開なのですが…
え、身篭るの?早くない?とかは、次回で明らかに…の予定。
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