後記 (頒布本あとがき一部引用)
本のタイトルが見慣れない単語かもしれません。御統(みすまる)は、まさに表紙の上下にあるあの飾りの事です。勾玉が沢山連なって、環になっている装飾具。
連なる小話が、御統の勾玉ひとつひとつのイメージです。繋がっているので、何処かしらに接点があります。が、前後はあまり無いのです。そしてループしている。
なので冒頭を《糸口》として、終わりに見せかけた二週目(もしかしたら、もっと回数ループしているかも)を《円がれ》として、御統を表現しているつもりです
作品別後記
《禍魂の糸口》
実は《笑気の沙汰》の冒頭だったのですが、あちらがあまりに長くなってしまったので、切り離して序章として設けました。その為、第四カルパへと向かう道中となっております。
《骨の針》
日本神話は名前がややこしいです。勾玉の形状が釣り針という説も有ったので、そこから関連付けて。二日目の新鮮な魚は《天空車のルウ》のアレ。
《土の器》
アダマが赤土という意味合いだそうで。土くれから出来た人型といえばマネカタだろう、と思い。
ゾウシガヤ霊園にある、人型の灼け跡が好きです。
《夭逝の環》
学生時代の記憶が突然甦るイメージ。冒頭の棺桶に入れた埴輪は《土の器》のM氏の作品。誓約(ゲッシュ)好きの故人に因んだクー・フーリン埴輪。
《夜の蜃気楼》
マガタマを棄てるシーンが無い。情緒全面押しと言い訳します。ライドウのアレコレは、サイトを知っていると少しニヤリと出来ます。帰りの飛行機での事件は《天空車のルウ》にて。
《天空車のルウ》
迷惑愛情夫婦。密やかなハイジャックがテーマ。インドの古典「マハーバーラタ」に、ヴィマナの場面が多く書かれています。ヴィマナ製造からパイロットの身なり食事に関してまで、物凄く詳しく掲載されているのは「ヴィマニカ・シャストラ」です。
《笑気の沙汰》
瘴気をテーマにしたら、病原体と公衆衛生に関して調べる必要が出て……社会と化学&科学が苦手な自分にとっては凄く大変でした。その割には資料が活かせていないだらだらした内容に、がーん。欧州のミアズマ説とコンタギオン説は、結構面白かったです。蠅様に洒落を云わせたいが為に書きました。
《円がれたる》
終章?となっていますが、振り出しに戻っております。マガタマを全て棄てきれぬまま堕天使に挑む形となり、記憶と肉体を欠損して目覚めたイメージです。敗因はマロガレ嫌いにあります。(スキル「貫通」)
ライドウは知った上で、人修羅に付き合っております。ちょっとしたループですが、毎回棄て方が同じという訳でも無いらしいです。小骨は《骨の針》のアレ。