* あとがき*
また無駄に長くなってしまいましたね。
・ファウストになぞらえて展開させる。
・引き止めたい一心で列車を止める人修羅。
・車椅子を蹴り飛ばすライドウ。
・殴る為に爪先からMAGを舐めしゃぶる人修羅。
これ等を書きたいと執筆を始めたのですが。
肝心な言葉を云わない、というのは、互いにとって都合が良いからです。云う事によって、己の目的と手段が逆転しかねないからです。
それにしても甘くなり過ぎた気がします、最近密着多いですね。
《結局ライドウは親と知っていたの?》
⇒ゴウトや御上の一部がああ云っているだけで、DNA鑑定しなければ確証は持てない。ファウストの末裔かも、定かでは無い。因みに、夜は最初から帰る気満々だった。
《ドイツの家が燃えたのは、ライドウが直接下したのか?そういう風に誰かを手引きしたのか?》
⇒これに関しては、ドイツのパートを書くべきか迷ったのですが、敢えて書きませんでした。ライドウにとって、結局親の情というものは理解し得無い展開になるので…そして、あまり鮮明にしてしまうと、執筆している管理人が後々辻褄合わせするのが大変だからです(おいおい)作中のタム・リンの言葉が耳に痛い。ライドウはヤタガラスに与する今まで通りの路を選んだ、結果としてはそれだけです。ミステリアスな所を残した方が、夜の影が引き締まる気がしないでもないからです。
《「Verweile doch, du bist so schoen」って何って云ってるの?》
⇒独語。タイトルの通り「止まれ、お前はとても美しい」です。ファウストの劇中で“「時よ止まれ」と唱える事が、ファウストが悪魔メフィスト・フェレスに魂を明け渡す詞(ことば)となる”という契約だったので。つまり、ライドウなりの人修羅に対する感情表現…
この瞬間を永遠にしたいと思う事こそが、彼にとっての真の堕落。
《何故人修羅は殴らないでキスしたの?》
⇒一刻も早く契約を交わしたかったから(繋ぎ止めてしまいたかったから)
これは、長編の徒花を書いた際に、実の所管理人にもダメージが有ったので…正直に云ってしまうと、それの修復の為に書きたかったのです。このSSでは、日常に戻ったという事です、いつも通り、傷の舐め合いという日々に。
《いきなりヴァイオリン?》
⇒ヤタガラスに荷物を確実にチェックされる筈なのに、どの様にして術書を持ち帰ったのか…を考えた結果、密輸じみたイメージが浮かび…どうせなら小洒落た容れ物に入れてカラスの眼を欺きたいなあ、という事で楽器にしました。《鬼火のメヌエット》で、少し場面を華やかにしたかった。何でもさらりとこなす嫌味な野郎を演出するのにも一役買いましたが。作品には食事か詠うシーンを入れたくなるのです。
《凪ちゃん可哀想じゃないですか?》
⇒思った以上に噛ませ犬になってしまって、申し訳無い。凪⇒人修羅が好きです(聞いてない)
《冒頭の文は?》
⇒森鴎外訳のファウスト(大正二年発刊)からです。デジタルライブラリーというサイトで、この時代の書物が読めます。全文がまるで詩の様で、言葉遣いも素敵なので興味のある御方は是非。