* あとがき*
冒頭の歌は、北原白秋の『金魚』という童謡。
先日書いたSSの金魚の描写が個人的に気に入っていたので、そこから発展させた。
飼っているつもりで飼われている。
この関係の描写は、SS『シュレーディンガーの猫』と被っているかもしれない。
ライドウが少し振り回されてる(勝手に慌てているだけ?)気がする。彼がらんちうが嫌いなのは、前のSSの通りヤタガラスの里の池で飼ってるから。
花魁の姐さんは、同性愛とはまた少し違うイメージで書いた。独占欲であり、他に色は無い。
《金魚玉》
硝子で出来た丸い鉢。窓辺などに吊るし、泳ぐ金魚を眺める。落ちた時が怖い、しかしその危うさも美しい。
《らんちう》
蘭鋳。背びれの無いずんぐりむっくりとした金魚。頭はフルボッコされたかの様に、ボコボコした肉瘤がある。かなり好き嫌いが分かれそうだが、愛好家は多い。
《鮫人-コウジン-》
中国の書物に見られる人魚の一種。涙が真珠となる。
今回出した悪魔は、江戸時代の小説『梅花氷裂』に出てくる藻之花の怨魂“金魚の霊”のビジュアルイメージで書いた。しかし設定としては、勝手に鮫人にした。真珠というワードを使いたかったから。