* あとがき*
徒花の少し前頃の話。なので、少しばかりライドウの感情に伏線が有ります。
趣味人ライドウ、だらりと連れられる人修羅。夏の陽射し、薔薇の薫り、汗の甘さ。
アルラウネは、薔薇が意思を持ち悪魔化したという設定です。蝶どころか(SS『蜜猟区』参照)今度は植物に嫉妬する人修羅。暑さの所為にして快楽に流される。
異性の想い人を持てぬそれぞれの理由を提示してみたかった。
表題のRhodonite(ロードナイト)は「薔薇輝石」の事ですが…rhodo=薔薇(ギリシャ語)、nite=night(夜)と掛けまして、薔薇と夜を含ませました。無理矢理ですね。
《冷蔵庫》
大正時代にも有ります、氷室に近い使用法ですが…アンティークな木製、真鍮の金具のとても素敵な逸品。
《オフェリア》
HT(ハイブリットティ)種、1912年作出、イギリスの薔薇。淡い桃色。作中ではシェイクスピアの「ハムレット」に出てくるオフェーリアと掛けてます。恋に狂い死んだ女性。
ライドウが剪定しながら歌ったのは、ランボーの詩「オフェリア」の“千年以上も前から…”のくだり。ランボーを歌わせるのは、此処のライドウがデカダン派好きのイメージの為。