* あとがき*
いやバレるだろ!!!!
『百合の夢』で他人のMAGを吸ったばかりの状態≠ェ判るっぽい描写したので、思わずMAG吸ってたらアウトかもしれません。虫除けショール巻いたのにこれだから、「人の教え子に手を出すとはとんだ阿婆擦れだね君」みたいな嫌味(ほぼ正論)をネチネチ言いながらめちゃくちゃ虐めてきそうです、そこまで書け。
今回は矢代の悪いところが出てますね、自分に明確な好意を抱いている相手に対しまんざらでもない¢ヤ度を取ります。しかもこのキスは「褒美」として与えている感覚で、大学生君の事も「人間の子供」という明らかに目下の捉え方しています。自分にどれだけ心酔してようが忠誠を誓おうが、人間は先に死ぬのでそういう判定になります。ただし逆を言えば、人間寿命程度しかない存在を自分の生に縛り付けるつもりもない、といった具合でしょう。褒美を与えた理由は「共感」、そして大学生君の変遷に対する愛着が多少有るのかな、というイメージ。夜が目をかけてやったのも、境遇に対する同調が有りそうです(そもそも教師を志していたのは教育精神が有る為、人や悪魔のレベルを上げるのが好き)
2幕冒頭で「功刀君みたいな事を云うね君」と言われている通り、大学生君は素が矢代に少し近いです。再びの登場は有るのでしょうか……
(2025/4/6 親彦)
〜簡易解説〜
▼ヤドリギ(mistletoe)
ビャクダン目に属すビャクダン科・オオバヤドリギ科・ミソデンドロン科の寄生植物の総称、自らも光合成は行なう。
北欧神話ではバルドル唯一の弱点として登場する植物。バルドル母フリッグが万物(四大元素)と契約した際、バルドルを傷付けぬ誓いを立てさせる。しかしヤドリギは半寄生存在であり非力とされた為、この契約から免れていた。それを知ったロキの策謀で、弟ヘズが投げた矢に貫かれるバルドル。
これ「非力な故に契約対象となりえなかった」というよりも「大地(四大の地)を通さず生る為に契約から外れた」が実際のところらしく、この特殊な位置付けも相俟って様々な信仰・儀式に登場する。勿論クリスマスにも。
自分がマガタマに最初抱いた印象が「寄生生物」だった為、そこから引き伸ばしたイメージを今回書いた。本タイトル『寄生木の矢』は「やどりぎのや」と読む。
▼スクーグスロー〈妖樹〉
スウェーデンの伝承にある森の精霊。一見すると人間女性だが、背面などは樹木のそれ。狩人や樵の男性に幸福をもたらすが代償として愛を求める、これを裏切ると様々な不幸に見舞われる。スカンジナビアの民間伝承にフルドラという近い存在が居る、こちらもやはり前面は美しい女性姿。
本作に登場したスクーグスローの「スー」は、管理人が若かりし頃に仲魔にした悪魔。スクーグスローにしては他への関心がサラッとしているが、これは当人が意識しての事。
▼管理人
里全体の環境管理を担当している老齢のデビルサマナー、ほぼ屋号のニュアンスで管理人≠ニ呼ばれている。役職柄、地霊・妖樹・神樹などと交流し造詣が深い。
壮年時代に旧友のデビルサマナーとコンビを組んでいた。森に入った際、スクーグスローに散々気を持たせ利用し挙句始末しようとした相方と衝突。互いに悪魔まで使う決闘状態に陥り、相方を殺してしまう。この際の負傷を敢えて治さず、戦闘要員から引退した。贖罪の流れで仲魔にしたスクーグスローに対し、最初は複雑な感情を抱いていた。